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【vol.58】相続Q&A~新事業承継税制について~

質問

今年から非上場株式等の贈与税および相続税の納税猶予制度が非常に有利かつ利用しやすくなったそうですが、従来の制度との違いを教えてください。

また、生前に株式の贈与を行った場合に新制度の適用を受けるための手続きの流れについても教えてください。

 

回答

従来の制度では、発行済議決権株式総数の3分の2までが納税猶予の対象で、相続税においては、その評価額の80%に対応する部分の税額(実質約53%)までしか猶予されませんでした。

また、適用を受けてから5年間は、平均で適用時の8割の雇用を維持しなくてはいけないという要件も、納税者にとっては適用の際の大きな障壁となっていました。

新制度においては、対象株式が全株となり、相続税における80%も100%に、雇用要件も大幅に緩和(実質的に撤廃)されることとなりました。この他にも、贈与者や受贈者の範囲が拡大され、中小企業の株式の集約と分散の両面で、今後の中小企業の円滑な世代交代の一助となることが期待されています。

 

株式の贈与を行った場合に、新制度の適用を受けるには、まず会社が「特例承継計画」を策定し、都道府県に提出する必要があります。その後、先代経営者から後継者に株式の贈与を行ったら、会社は贈与のあった年の翌年1月15日までに、今度は「認定申請書」を都道府県に提出し「認定書」の交付を受けます

株式の贈与を受けた後継者は、その「認定書」の写しと共に、同年3月15日までに贈与税の確定申告書を税務署に提出します。

贈与税の納税猶予の適用を受けた後も、申告期限から5年間は毎年都道府県と税務署に、5年経過後は3年ごとに税務署に、それぞれ書類の提出が必要になり、これを怠ると適用が取り消されてしまいますのでご注意ください。

 

教訓

事業承継税制の新制度は有用な制度ではありますが、利用にあたっては、会社の状態をよく分析し、後継者についても人柄、能力、そして承継の時期をきちんと見極める必要があります。

株式は無税で移せても、会社が存続しないことには元も子もありません。
手法に振り回されて、本質を見誤ることのないようにしましょう。

 

 

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