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【vol.88】相続Q&A~遺言書の無効確認が行われている場合の相続税の申告について~

質問

「甲にすべての財産を遺贈する」旨が記載された遺言書がありますが、他の相続人から遺言の無効確認の訴えと遺留分の請求がなされている場合において、甲はどのような内容で相続税の申告を行ったらよいでしょうか。

A.遺言書どおり
B.遺言書の内容から遺留分を引いて
C.未分割であるとして法定相続分

回答

正解は「A」です。
Bは、まだ遺留分の請求がなされているだけで、正式に確定していませんので、現時点でこれを相続税の申告に反映させることはできません。
Cについても、相続税法第55条(未分割遺産に対する課税)で、その対象を「相続又は包括遺贈により取得した財産の全部又は一部が共同相続人又は包括受遺者によってまだ分割されていない」ケースに限定しており、本事例のように「●●にすべて」という遺言書においては分割がされていると解するため、未分割にも当たらないというわけです。

教訓

本事例は、平成12年の国税不服審判所の裁決事例に基づくものです。実際、甲さんはCの内容で期限内申告したところ、後日、税務当局よりAである旨の更正処分を受け、不足分の相続税と過少申告加算税を納付しました。甲さんにとっては、他の相続人から訴えられ、遺産の処分に制約があるものの、法律上、遺言の無効も遺留分の請求も確定していないため、手許の遺言に基づいて相続税の申告をするべきというわけです。


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