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【vol.80】相続Q&A~配偶者居住権の注意点について~

質問

2020年4月1日より、配偶者居住権の制度が施行されます。配偶者居住権の設定について、注意すべきことはありますか。

回答

被相続人の配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始時に居住していた場合において、
①遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき

➁配偶者居住権が遺贈の目的とされたときは、
その居住していた建物の全部について無償で使用及び収益をする権利を取得する(民法第1028条第1項)
いわゆる、長期配偶者居住権です。

上記①②のほか、死因贈与も含まれるとの法務省の見解がでています。
また、配偶者居住権を取得するためには、相続開始時に居住していることが必要なため、被相続人が遺言で、配偶者に配偶者居住権を遺贈していた場合で、相続開始時に配偶者が施設に入所してしまっていたときは設定ができなくなる可能性があることは遺言書作成時にきちんと説明しておく必要があるでしょう。

配偶者居住権の存続期間は、原則配偶者の終身の間となること及び配偶者居住権は譲渡することができない(ただし、配偶者居住権の放棄や所有者の買取は可能)ことを考えると、一度設定してしまった後に、その配偶者が施設に入るようなことがあると、建物が空き家になってしまう上に、処分も難しくなるため、配偶者やその家族の負担となってしまう可能性があることにも注意が必要です。

教訓

配偶者居住権については、新しい制度であり、今回の一連の民法改正の中でも、大きなトピックとして扱われていますが、どこまで需要があるのかは、その使い勝手の良さによると思っています。
配偶者がずっと元気で在宅のまま看取りができるのであれば有効な手段の一つとなりますが、将来のことはわからずいろいろなことを想定しておかないといけないと考えると、配偶者居住権を設定することの民法上のメリット・デメリット税務上のメリット・デメリットを考慮して、それぞれのご家族でフィットするのかどうか慎重に見極める必要があるでしょう。


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