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【vol.78】相続Q&A~家族が成年後見制度を活用する上での注意点~

質問

母の認知症が進み、母の財産や不動産の管理が難しくなってきたため、母の成年後見人選任の申立て及び後見人には私(長女)を候補者にしようと考えています。
何か気をつけることはありますか。

回答

成年後見の申立てを行うにあたっては、申立時の添付書類がたくさんありますので、そちらの準備が必要です。詳しくは、『成年後見・保佐・補助申立ての手引き』というパンフレット若しくは家庭裁判所のホームページでダウンロードできますので、そちらをご確認ください。
ご家族が後見人候補者となる場合には、本人及び後見人候補者に対して家庭裁判所での面談が実施されます(本人が難しい場合は後見人候補者のみ)。その際には、本人の財産状況や収支状況、家族へお金が移動している場合等の理由や、他に相続人がいる場合に、後見人候補者が後見人になることについて反対している家族がいるか等、細かく質問をされます。その受け答えによっては、後見人には不適切として、後見人に選任してもらえない可能性もでてきます。
また、東京家庭裁判所の運用方針によると、本人の預貯金が1,000万円を超える場合には、後見支援信託を利用するか、後見監督人(弁護士や司法書士等)が選任されることが多いです。家族が後見人に就任する場合でも、本人の財産を守るという点で、ある程度のコスト増が見込まれます。

教訓

成年後見制度は、認知症等になってしまった本人の財産管理や身上監護を保護する意味でとても重要な制度です。
その一方で、成年後見制度の運用が厳格になるにつれて、家族が後見人となる場合の負担やコストが増えてしまっているように感じます。資産が少なくはないですが、一生分の生活費としては足りてないような方にとっては、コストの面で、使いづらい制度になってしまったかもしれません。
本人の幸せで豊かな生活のために、一つの選択肢として後見制度は有用ですが、全体的な視点で、どの選択をするのかを考える必要があるでしょう。


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