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【vol.76】相続Q&A~共同相続人間における無償の相続分の譲渡について~

質問

共同相続人間においてされた無償による相続分の譲渡は、上記譲渡をした者の相続において、特別受益に規定する「贈与」に当たり、遺留分減殺請求権の対象となりますか。

回答

共同相続人間においてされた無償による相続分の譲渡は、譲渡に係る相続分に含まれる積極財産及び消極財産の価額等を考慮して算定した当該相続分に財産的価値があるとはいえない場合を除き、上記譲渡をした者の相続において、民法903条1項(特別受益者の相続)に規定する「贈与」に当たる(平成30年10月19日最高裁判決)。したがって、相続分の譲渡の価額は遺留分減殺請求権の対象となります。
相続分の譲渡は、「譲渡人から譲受人に対し経済的利益を合意によって移転する」ものということができる(譲渡人から譲受人に生前贈与することと何ら変わりがない)と考え、生前贈与をすると特別受益の対象となり、相続分の無償譲渡をすると特別受益の対象とならないとなると、共同相続人間の公平性が失われるとの理由からこの判断がされました。

教訓

今回の判例が出るまでは、相続分の譲渡は、特別受益に規定する「贈与」になるか、ならないかは、見解が分かれていましたが、この判例により、原則、相続分の譲渡は、特別受益に規定する「贈与」になることが確定しました。
相続実務においては、遺産分割協議が成立し、遺産分割協議書によって手続きが進んでいくことが多いですが、事情によっては相続分の譲渡という方法で、書類をまとめることがあります。この際に、遺産分割であれば特別受益の対象とならず、相続分の譲渡であれば特別受益の対象となるということの論点はとても大きいです。後々のことも考えて、笑顔相続のためにどうするかは、慎重に考える必要があるでしょう。


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