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【vol.70】相続Q&A~相続人の一人が協力してくれない場合にどうしたらよいか?~

質問

相続が開始し、被相続人が遺言書も残していないため、相続人全員による遺産分割協議により遺産を分配する必要があるのですが、相続人の一人が相続手続に協力してくれません。
この相続人に関しては、生きていること、住所はわかっており、手紙を出したら届きます。どうしたらよいでしょうか。

回答

本件のご相談は、相続人が生きており、郵便物も届くが、リアクションがなく、相続手続に協力してもらえない、というものです。
したがって、生きているか死んでいるかわからない場合に検討する失踪宣告や、生きているがどこにいるかわからない不在者財産管理人の選任の申立てを行う場面ではありません。
こういったケースは、相手方である相続人の様々な事情により相続手続に協力してもらえないケースが多く、「正解はこれです。」というものは正直ありません。
どなたか親戚のツテを探してその方から連絡をしてもらう、相続人の方から手紙を送る、相続手続をサポートしている士業から手紙を送る、実際にご自宅に行って会ってみる(会えるかどうかは行ってみないとわかりませんが)等の方法が考えられます。
それでも相続人の協力が得られない場合には、相続手続を進めるため、家庭裁判所で調停の手続きを選択することになります。

教訓

相続実務をしていると、今回の相談のようなケースに遭遇することが多々あります。
既に相続が開始しており、遺言書がない場合、相続人には法定相続分という権利が発生していますので、日頃コミュニケーションを取れていない相続人に対して「被相続人と疎遠だったのだから、遺産をもらうなんて言いませんよね。」的な態度で接することは、かえって状況を複雑化させてしまうことも少なくありません(感情的にはわかりますが)。
また、連絡が取れなかったり、協力を得られない相続人の中には、感情的な問題ではなく、それぞれに理由があることがあります。
例えば、生活保護を受けている、オレオレ詐欺に騙された(若しくは騙されそうになった)ため警戒している、認知症になっている、高齢のため印鑑登録や印鑑証明書を役所に取りに行けない等です。
いずれにせよ、笑顔相続のためには、依頼者に対しても、連絡の取れない相続人に対しても丁寧に対応し、粘り強くことを進めていく必要があります。
そして、障害となる原因がわかったらその障害を取り除く柔軟な思考いろいろな専門家とのチームワークが必要となるでしょう。


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