【vol.67】相続Q&A~2019年度税制改正の動向~
質問
昨年度の税制改正は、事業承継税制や小規模宅地等の特例で沸きましたが、
今年度の税制改正では、資産税においてはどのような点が検討されているのでしょうか?
回答
2018年12月21日、2019年度税制改正の大綱が閣議決定されました。
本改正では、昨年ほどではありませんが、見直しが予定されています。
今回は実務への影響が大きい改正事項をご紹介いたします。
1.個人事業者の事業用資産に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の創設
一定の要件を満たす者が、2019 年1月1日から平成 2028 年 12 月 31 日までの間に、
相続または贈与等により特定事業用資産(一定の土地、建物、減価償却資産に限る)を取得し、
事業を継続していく場合には、担保の提供を条件に、その者が納付すべき相続税額または贈与税額のうち、
相続または贈与等により取得した特定事業用資産の課税価格に対応する相続税または贈与税の納税を猶予する。
2.小規模宅地等の特例の対象範囲の見直し
2019年4月1日以後に開始する相続より、特定事業用宅地等の範囲から、
相続開始前3年以内に事業の用に供された宅地等(当該宅地等の上で事業の用に供されている減価償却資産の価額が、
当該宅地等の相続時の価額の15%以上である場合を除く。)を除外する。
3.教育資金の一括贈与非課税措置の見直し
教育資金の一括贈与非課税措置について、受贈者の所得要件設定や使途の見直し等を行う一方、
30 歳以上の就学継続には一定の配慮を行い、適用期限を2021年3月31日まで延長する。
4.結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置の見直し
結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置について、受贈者の所得要件設定を行い、適用期限を2021年3月31日まで延長する。
教訓
本改正では、昨年度の税制改正で創設された特例事業承継税制(法人版)の個人事業主版が導入されることになります。
しかし、昨年度の改正により利用しやすくなったといわれる法人版の制度も、ふたを開けてみると、
まだまだ現実に即していない部分も多く、思うように利用が進んでいないというのが現場の感覚です。
個人事業主版の創設で状況が好転するかも疑問が残るところです。