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【vol.59】相続Q&A~一般社団法人等に対する課税制度について~

質問

一般社団法人等を利用して相続税を不当に回避するスキームを防ぐための改正が行われたそうですが、具体的にはどういった内容でしょうか?

 

回答

一般社団法人等に対して個人が生前に財産の移転を行うことで、持分がないことを利用した租税回避行為が近年問題となっていましたが、今年度の改正により、こうしたスキームへの対策として、以下のような制度が創設されました。

<特定一般社団法人等に対する相続税の課税制度>
特定一般社団法人等の理事(相続開始前5年以内のいずれかの時において特定一般社団法人等の理事であった者を含む。)が死亡した場合には、その特定一般社団法人等の純資産額のうち一定の金額を、被相続人であるその理事から遺贈により取得したものとみなして、その特定一般社団法人等に相続税を課税することとする。

上記制度の創設により、特定の個人の財産保全を目的としたような一般社団法人等では、今後は相続税を下げる効果は得られないこととなります。

なお、「特定一般社団法人等」とは、次に掲げる要件のいずれかを満たす一般社団法人等をいいます。
イ 相続開始の直前において、同族理事の占める割合が2分の1を超えること。
ロ 相続開始前5年以内において、同族理事の占める割合が2分の1を超える期間の合計が3年以上であること。

従来のスキームは、本来の制度の主旨に沿ったものではなく、いわば抜け穴的部分を突いたものでした。
本改正によって、こうした制度の不備が補完されたといえます。

※ 本改正は、平成30年4月1日以後の一般社団法人等の役員の死亡に係る相続税について適用される。ただし、同日前に設立された一般社団法人等については、平成33年4月1日以後のその一般社団法人等の役員の死亡に係る相続税について適用され、この場合に、平成30年3月31日以前の期間は上記ロの2分の1を超える期間に該当しないものとする。

 

教訓

世の中には相続対策を掲げたスキームや商品が多く存在します。
相続診断士の皆様におかれましては、まずは依頼者に寄り添い、そして笑顔相続に資するものかどうかを見極めたうえで、活用していただきたいと思います。

 

 

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