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【vol.52】相続Q&A~リフォーム費用と相続税評価~

質問

自己の所有する家屋についてリフォームを行うと、手許の現預金が減って相続税対策にならないでしょうか?

 

回答

所有する家屋についてリフォームを行った場合には、当然に家屋の資産的価値は向上します。

相続財産全体で見たら、手許の現預金が減って、その分家屋の評価額が上がってプラスマイナスゼロとなりそうです。

 

しかしながら、相続税の財産評価の計算において、家屋は「固定資産税評価額」を基礎とします。

家屋のリフォームについても、厳密には、リフォームによって家屋の価値が向上し、
固定資産税評価額が改訂されることによって、家屋の評価が上がるというものです。

 

では、リフォームを行ったら必ず固定資産税評価額が改訂されるのでしょうか?

実際のところ、リフォームの内容によっては固定資産税評価額に影響のあるものとそうでないものに区分されます。

固定資産税評価額に影響のあるリフォームの代表例として「市区町村に建築確認申請を行うべきもの」があります。

具体的には、壁や柱など家屋の主要構造部分の変更を伴うものや、床面積を増やすものなどです。
逆に言えば、これらに該当しなければ、建築確認申請は不要で、固定資産税評価額にも影響がないことになります。

 

こうした固定資産税評価額に影響のないリフォームが相続税対策に有効だとして、
制度上の抜け穴として活用されていた時期もありましたが、平成25年に国税庁では次のような見解を示しています。

 

増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない場合の家屋の評価

増改築等に係る家屋の状況に応じた固定資産税評価額が付されていない場合の家屋の価額は、増改築等に係る部分以外の部分に対応する固定資産税評価額に、当該増改築等に係る部分の価額として、当該増改築等に係る家屋と状況の類似した付近の家屋の固定資産税評価額を基として、その付近の家屋との構造、経過年数、用途等の差を考慮して評定した価額(ただし、状況の類似した付近の家屋がない場合には、その増改築等に係る部分の再建築価額から課税時期までの間における償却費相当額を控除した価額の100分の70に相当する金額)を加算した価額(中略)により評価します
(以下略)

国税庁「質疑応答事例」より抜粋

 

要するに、固定資産税評価額に影響しない部分については
リフォームにかかった費用から経過年数に応じた償却費を控除した金額の70%相当額
の評価となるわけです。

 

教訓

リフォームに限らず、相続税対策はきちんとした知識をもって行わないと、
望ましい結果が得られないことがあります
ので注意しましょう。

また、対策にあたっては、事前に現状把握も行っていないと、
リフォーム費用の支出により相続税の納税資金を侵害してしまう恐れもありますので、こちらも注意が必要です。

 

 

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