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【vol.48】相続Q&A~相続税計算における不動産鑑定評価~

質問

相続により取得した土地の「相続税評価」が、実際の時価よりも著しく高いと認められる場合において、これに代えて「鑑定評価」を用いることがあると聞きました。

この「鑑定評価額」を用いる際に留意すべき点はありますか?

 

回答

相続税の計算上、相続または遺贈により取得した財産の価額は、当該財産の取得の時における時価によるものとされておりますが、実際には、課税の公平の見地より、その価額は、財産評価基本通達(以下「評価通達」といいます。)に定められた方法によって評価します。

 
土地でいえば、路線価や固定資産税評価額に、評価通達で定められた割合等を乗じて、その価額を計算します。

評価通達では、日本全国のあらゆる土地の評価について対応しようとするため、ときに対象の土地の特殊性を無視せざるを得ないこともあります。

路線価方式による評価において、土地の向き(南向きor北向き)を考慮しないのが、その一例です。
これは、評価通達が画一的かつ簡便的な処理を重視したゆえの帰結であるといえます。

こうした評価通達の“ひずみ”により、評価通達に従って評価することが著しく不適当と認められる場合に初めて「鑑定評価」を用いるのが有効と判断されることがあります。
 
 
その際に納税者は、

①評価通達による評価が合理性に欠くこと
②評価通達に代わる合理的な評価を示せること
③両者の評価に著しい価額のかい離があること

 
を積極的に立証していく責任があり、これをもって税務署を納得させなくてはいけません。

当然、鑑定評価の内容についても、不確定要素や主観は排除し、客観的かつ証明可能なものでなくてはいけません。

 

教訓

鑑定評価を採用するにあたっては、一定の事情と根拠を担保し、それを立証する責任と否認のリスクが納税者に生ずることを理解しておかなければなりません。

さらに、鑑定書作成のためのコストも考えなくてはいけません。

また、一口に鑑定評価といっても、立証すべき相手(税務署、争っている他の相続人、土地の売却先など)とその目的によっても、その手法は変わってきます。

家族や財産の状況に応じて、賢く使い分けるようにしましょう。

 

 

(参考)財産評価基本通達の定めによらない財産の評価について(要約版)
税務大学校 研究部教育官 山田 重將

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