相続診断協会は、相続診断士の認定発行・教育・サポートを行っている機関です。

相続診断協会相続診断協会
0366619593

【vol.46】相続Q&A~平成29年度税制改正について~

質問

平成29年度税制改正で、相続に影響する改正には、どのようなものがありますか?

 

回答

平成29年度税制改正において、相続税関係では、事業承継税制について要件緩和がなされたほか、非上場株式の評価方法についても見直しが行われました。以下、主要な改正項目をご紹介いたします。

 

1.事業承継税制の要件緩和等の見直し

平成29年1月1日以後の相続等により取得する財産に係る相続税又は贈与税の納税猶予の適用にあたって、以下の見直しが行われます。

〇 納税猶予の継続要件にあたる雇用水準8割の計算において、相続開始時又は贈与時の常時使用従業員数に100分の80を乗じて計算した数に1人に満たない端数があるときは、これを切り捨て(現行:切り上げ)て計算する。
〇 相続時精算課税制度に係る贈与を、贈与税の納税猶予制度の適用対象に加える。
〇 非上場株式等の贈与者が死亡した場合の相続税の納税猶予の対象会社について、中小企業者であり、かつ非上場会社であることの要件を撤廃する。

 

2.取引相場のない株式等の評価見直し

平成29年1月1日以後の相続等により取得したものについては、その評価にあたって以下の見直しが行われます。

〇 類似業種の上場会社の株価について、現行に課税時期の属する月以前2年間平均を加える。
〇 類似業種の上場会社の配当金額、利益金額及び簿価純資産価額について、連結決算を反映させたものとする。
〇 配当金額、利益金額及び簿価純資産価額の比重について、1:1:1とする。

上記見直しに加え、評価会社の規模区分の金額等の基準について、大会社及び中会社の適用範囲の拡大も行われます。

 

3.広大地評価の見直し

平成30年1月1日以後の相続等により取得したものについては、その評価にあたって、現行の面積に比例的に減額する評価方法から、各土地の個性に応じ、奥行価格補正や不整形地補正を行ったうえで、面積を考慮した補正を行う評価方法に見直しが行われます。さらに、広大地に該当するか否かの判断基準についても明確化されます。

 

4.相続税又は贈与税の納税義務の範囲の見直し

従来、被相続人と相続人等の双方が5年超国外に移住してから国外財産を相続等する場合には国内の相続税は課税されませんでした。平成29年4月1日以後の相続等からは、この5年が10年に延長されます。(贈与税についても同様)

 

教訓

相続に限って言えば、手続上の見直しが中心となった印象を受ける本改正ですが、いずれも相続実務には影響を及ぼす内容ですので、ご自身に関連する項目についてはしっかりと確認しておきましょう。

PAGE TOP