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【vol.44】相続Q&A~相続税の基礎控除額引き下げの影響は?~

質問

平成27年1月1日以降に開始した相続より、相続税の基礎控除額がこれまでの6割に引き下げられましたが、実際の影響はどうだったのでしょうか?

 

回答

平成28年12月に、国税庁より「平成27年の相続税の申告状況について」の発表がありました。これによれば、平成27年は相続税の基礎控除額の引き下げに伴い、相続税の課税ベースが広がり、平成27年は相続税の課税対象となった被相続人は約10万3千人(平成26年は約5万6千人)にのぼりました。

 

(付表1 被相続人数の推移)

国税庁発表資料より

 

相続税の課税割合は、改正前の財務省の試算では6%程度と見込まれていましたが、実際には8.0%(平成26年は4.4%)と前年より3.6ポイント増加しました。相続税の税収は前年の1兆3千億円より5千億円多い1兆8千億円になり、平成27年度予算の1兆7千億円に対しては、約1千億円上振れする結果となりました。

 

 

(付表2 課税割合の推移)

国税庁発表資料より

相続財産の構成比は、前年よりも土地の割合が減少し、その分預貯金が増加する結果となりました。課税ベースが広がり、相続税がより身近な税金になったことで、「土地持ちの富裕層」に限った税金ではなくなりつつあるということでしょう。

 

(付表3 相続財産の金額の構成比の推移)

国税庁発表資料より

 

教訓

改正の影響については、これまで様々な見解がありましたが、今回ようやく実際の数値が判明しました。今後はこれまで相続税に縁のなかった家庭にも、従来の争族のリスクに加え、納税のリスクもつきまとうことになります。遺産分割と納税ができてはじめて良い相続対策です。相続診断士から広めていきましょう。

 

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