相続診断協会は、相続診断士の認定発行・教育・サポートを行っている機関です。

相続診断協会相続診断協会
0366619593

【vol.42】相続Q&A~認知症となった母の自宅を売却したい~

質問

認知症の母がいるのですが、母の日々の生活費や医療費が足りなくなってしまったため、母の自宅を売却する必要があります。すでに、買主は見つかっています。どのようにしたらよいでしょうか。

 

回答

成年後見制度を利用し、後見人を立てた上で、家庭裁判所に居住用不動産の売却許可をもらう必要があります。また、自宅の売却となりますので、お母様の次の住居(又は施設)を同時に探す必要があります。買主には、上記手続きが必要なことを説明し、不動産の引き渡しの日を伸ばしてもらう必要もあるでしょう。

 

教訓

認知症となってしまうと、不動産の売買契約や登記手続に関する意思能力が不十分となってしまう可能性が高く、そのままでは取引ができないことが多いです。

 

その場合には、家庭裁判所に申し立てて、成年後見人を選任してもらう必要があります。更に、自宅を売却する場合には、選任された成年後見人から家庭裁判所へ居住用不動産の売却許可の申立てを行い、家庭裁判所の許可をもらう必要があります。

 

すでに買主が見つかっている場合には、売り時を逃してしまう可能性があるため、急ぐ必要があります。

通常、成年後見人の申立てからその選任まで2か月、そこから居住用不動産の売却許可の取得まで1か月程度はかかります。

 

すでに認知症になってしまった場合には、この方法しかありません。
加えて、不動産売却後においても成年後見制度は続くため、成年後見人は毎年家庭裁判所へ一年間の収入と支出の報告をしなければなりません。

 

したがって、元気なうちに認知症になってしまった場合のことを考えて対策を打ちたいという場合には、家族(民事)信託を利用することをお勧めいたします。

家族(民事)信託を利用すると、信託の目的に沿って受託者の判断で柔軟に不動産を売却することができ、家庭裁判所への報告も不要となります。不動産をお持ちの方は、将来のことを考えて、一度ご検討されるとよいでしょう。

PAGE TOP