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【vol.27】相続Q&A~養子にいった子に実親の相続権はありますか?~

質問

実父母との間の子Aが養子縁組をした場合図の事例の場合、Aは、養親の相続権はありますが、実父母の相続権はありますか。
(下記図参照)

回答

Aは養親の相続権を有するのはもちろん、実父母の相続権も有します(普通養子縁組の場合)。
ただし、養親とAとの養子縁組が、特別養子縁組(※)の場合は実父母の相続権はありません。

 

教訓

 相続診断士からの質問ランキングで常に上位に位置する質問が「養子にいった子に実親の相続権はありますか?」です。
本当にご質問が多いです。
養子に行ったのだから、実父母との関係は切れて、実父母の相続権は消滅するのでは?というのが皆様の第一感なのかと思います。

 

同809条において、「養子は、縁組の日から、養親の嫡出子たる身分を取得する。」とだけ定められており、実父母との関係が消滅するといった規定はありませんので、実父母及び養親双方の子という身分を有することになります。すなわち、両方の相続権を有するということです。
この説明をしますと、多くの相続診断士から「養子縁組をいっぱいしたら、たくさん相続できるのですか?」と聞かれます。

答えは「イエス」です。したがって、実父母のほかに、養親が3人います、ということも法律上ありえます。しかし、実際に、私はそのような方にはお目にかかったことはございません。養子縁組制度の趣旨は、「家」を残すため、養親の老後の介護をするため、幼い養子を養親がお世話するため等が一般的ですので、養子縁組が重複するような事態は通常生じないからでしょう。

 

(※)特別養子縁組
実父母による子に対する監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のために特に必要があると認めるときに、家庭裁判所は、一定の要件を満たせば、養親となる者の請求により、実方の血族(実父母等)との親族関係が終了する縁組(特別養子縁組)を成立させることができます。
これは、実父母による子の監護が著しく困難又は不適当である場合に、法律上、実父母と子の血族関係を断ち、養父母を実父母同然に扱い、子の監護をさせようという制度です。
したがって、特別養子縁組をした場合、養父母と養子は相続関係が成立しますが、実父母と子には相続関係が成立せず、実父が死亡しても、子は相続人とはなりません。

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