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【vol.21】相続Q&A~成年後見人に就任するかもしれませんが、何か注意点はありますか?~

質問

私には、長年のお付き合いもあって、私のことを家族同然に考えてくださるお客様がいらっしゃいます。そのお客様には、3名の子がいます。そのうち、2名は精神障害を負っており、お客様は、自分が死亡した後のことをとても心配されております。そこで、成年後見人の申立てを行うことになりそうです。
お客様より、私に成年後見人になって欲しい旨のご指名を頂きました。2名の精神障害者のうち、1名を子Cが、もう1名を私が成年後見人として申立てを行う予定です。何か注意すべきことはありますか?

 

回答

成年後見人に就任する際に注意すべきことは、大きく分けて3点です。

 

(1)本人及びその周りの推定相続人等の関係者との関係は良好か。
 成年後見人の役割は、本人の財産管理権と身上監護権を保護することにあります。財産管理権とは、本人の現金や通帳を管理し、入るべき収入がきちんとはいっているか、支払うべき支出以外の余計な支出がないかを日々チェックすることです。身上監護権とは、医療、介護、住まい、施設、教育やリハビリ等、本人の身上に関する保護を行う権利です。
 特に、本人の財産を既に使い込んでいたり、あてにしている親族がいる場合、成年後見人が財産管理権を掌握するため、自由に利用できなくなった親族との間でトラブルになりやすいです。

(2)年1回の家庭裁判所への報告義務があります。
 本人の財産目録、収支報告書を成年後見人にて作成し、通帳の写しやレシート等を添付して年に1回家庭裁判所へ報告する必要があります。

(3)一度利用すると、原則本人が死亡するまで続きます。
 途中で、手続きが大変だから成年後見制度の利用をやめたい等、一方的な都合で終了することはできません。

 

教訓

相続とは、直接の関係はありませんが、成年後見制度は、相続診断士として知っておかなければならないテーマでありますので、Q&Aでご紹介させて頂きました。お客様より、「成年後見人になって欲しい。」と頼まれる程の信頼関係を築けており、とても素晴らしいと思います。しかし、成年後見人は、信頼関係があるからといって二つ返事で応じられるような簡単な仕事ではないこともまた事実です。
本人が、一度外に出てしまうと自力で家に帰って来られなかったり、ゴミを持ち帰ってきて近隣トラブルとなったりすると、その度に呼び出されたりもしますし、手術等をする際に医療行為の同意を求められたり、難しい判断を迫られる時も多々あります。本人に何かあれば、親族よりも先に連絡がいくこともありますし、海外旅行等は控えている、という方もいらっしゃいます。

 

上記のようなことを、親族ではない(第三者である)相続診断士が行うことは、とても責任が重く、労力が必要となります。成年後見人に就任される際には、その覚悟をもって頂ければと存じます。
なお、成年後見人として第三者である相続診断士が選任されるのか、という点に関しては、成年後見申立書の成年後見人候補者欄に名前を記載し、家庭裁判所の判断を仰ぐことになります。

 

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