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【vol.2】相続Q&A[事例] ~繰り上げ返済のメリットとデメリット~ 

個人で不動産賃貸業を営んでいます。 資金がある程度たまったら、近い将来、繰り上げ返済を検討しております。 ただ、負債があると、相続税の節税効果があると聞きました。 繰り上げ返済のメリットとデメリットを教えてください。

回答

<解説>

繰り上げ返済をすると、債務は減りますが、その分の現金が流出しますので、正味財産に影響はなく、これだけでは相続税を減らす効果はありません。 しかし、債務が減ることで、それ以降の利息負担は軽減されます。 利息負担が減ることにより、不動産賃貸業の必要経費も減り、その分所得税・住民税は増えることになります。 これらの影響をまとめると以下のとおりになります。

<繰り上げ返済直後>
相続税:→
利息:↘↘
所得税・住民税:↗
仮に、繰り上げ返済により、利息負担が年間で200万円軽減されたとすると、所得税・住民税の税率が40%の方にとっては、税金負担が年間で80万円(200万円×40%)増加しますが、差額の120万円は現金で留保することができます。

<繰り上げ返済後>

相続税:↗
利息:↘↘
所得税・住民税:↗

この結果、繰り上げ返済を行うことによって、所得税・住民税だけでなく、相続税も増加することになります。

教訓

繰り上げ返済を行う際のポイントは「利息で払うか、税金で払うか」です。
利息を安くできても、税金が増え、結果、トータルでの負担が増えてしまっては、賢い対策とは言えません。
また、繰り上げ返済を行うと、当然のことながら、手元の現金が減ります。過度な繰り上げ返済は、ご自身の生活を圧迫することにもなります。借入同様、返済についても、計画性が必要となります。
繰り上げ返済をお考えの方がいらっしゃいましたら、まずは相続診断によりご自身の現在の状況を把握していただきましょう。そして、繰り上げ返済の時期や金額の違いによる上記3項目への影響を試算することで、繰り上げ返済のメリットを最大限に享受しましょう。

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