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【vol.16】相続Q&A~同時死亡の取り扱い~

質問

夫と父の乗った車が事故に遭い、二人とも亡くなりました。
今回のケースでは、父の遺産は誰が相続することになりますか?

 

回答

同時死亡については、民法で次のように定められています。

 

<民法32条の2>
数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。

 

同時死亡が起こった場合に、同時死亡した者の間で相続は行われません。したがって、夫は父の遺産を相続することはできず、夫が亡くなっているからといって、遺産が妻の手に渡ることもありません。本ケースでは、父の遺産は、母と兄が2分の1ずつ相続することになります。

一方で、父が事故現場で亡くなり、夫が病院へ運ばれてから亡くなった場合には、父の亡くなった後も夫が生存していたことが明らかであるため、同時死亡とはなりません。
そのため、父の相続開始後に夫の相続開始するため、妻は夫が相続した父の遺産を相続することになります。

では、父と夫が同時死亡した場合に、夫と妻の間に子がいたらどうなるでしょうか?(下図参照)

この場合には、子が夫の代襲相続人として父の遺産を相続します。これは、民法で代襲相続の要件として「被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき」と定めており、この「以前」に、相続開始時における同時死亡を含んでいると解釈できるからです。

 

<民法887条2項>
被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、 その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる.但し、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。

 

本ケースでは、父の遺産は、母が2分の1で、兄と子が4分の1ずつ相続することになります。

教訓

同時死亡は、日常的に見たら非常に稀な事象ではありますが、天災や不慮の事故等が原因で誰にでも起こりうることです。相続対策を行う上では、たとえ稀なケースであっても、あらゆるケースを想定しておくことで、よりよい対策につながります。

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