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【vol.15】相続Q&A~遺言があると、かえって揉める?!~

質問

遺言書があると、かえって揉めてしまうと聞いたことがあります。
これはどういうことなのでしょうか。

回答

残念ながら、揉めてしまう遺言というのは、確かにあります。

一つ事例をご紹介いたします。
Aには、妻Bとその間の子Cがいました。妻Bが死亡後、Aは長年愛人関係にあったDと再婚しました。その後、Aが死亡し、公正証書遺言が出てきました。その公正証書遺言の内容は、「妻Dに全財産を相続させる。」というもので、全財産を後妻Dに渡したい理由や、Cに対する言葉はありませんでした。

公正証書できちんと遺言を残されていたAですが、これは揉めてしまう遺言でした。
その原因は次のとおりです。
(1)子Cへの想いがない。後妻Dに全財産を渡したい理由が書いていない。
(2)「全財産」という書き方により、どれだけ遺産があるのかわからない。
(3)Cの遺留分に配慮していない。

結果、Cは弁護士を立てて、遺留分を一円単位までしっかり請求するという事態になってしまいました。
遺言者の立場からみても、Cと後妻D(元愛人)の関係が決して良好なものではないだろうという想像は容易にできるはずですので、せっかく公正証書で遺言を残されるのであれば、揉めない・揉めにくい遺言となるようCへの配慮が必要でした。

教訓

ご紹介した事例のように、家族関係が複雑であったり、相続人間での関係が良好ではなかったり、不動産のように分けにくい遺産があるような場合に、遺産の分配方法しか記載のない遺言では、かえって揉める原因になってしまうケースがあります。
一般社団法人相続診断協会が、笑顔相続となるために、「遺産の分配方法だけではなく、想いを遺してください。」と皆様にお伝えしている理由はここにあります。
Aの遺言書に、子Cへの想いや感謝の言葉があり、後妻Dにはとてもお世話になったので○○の不動産と預貯金○○○万円を渡したいという理由があり、Cにも形見分けではないですが、いくらかの遺産を受け取って欲しい、と書いてあれば…
そして、生前にAC親子で相続について話す時間が少しでもあれば、Cは弁護士を立てて1円単位で争うようなことはしなかったのではないでしょうか。
実際に、Cは「父が亡くなって、数日後、Dからこの内容の公正証書遺言が送られてきたので、感情が一気に沸点に達してしまった。もっと冷静に対応できればよいとは思うのですが感情的に難しい。」とおっしゃっていました。
やはり、想いやりが大事だということです。

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