【vol.135】相続Q&A~相続における不動産の評価額の考え方とは?~
質問
相続の話し合いの中で不動産の評価額が問題になっています。
同じ不動産なのに、人によってなぜこんなに主張が違うのでしょうか。
回答
① 公示価格(適正な地価形成のための指標)
② 固定資産評価額(①の7割程度といわれることが多い)
③ 路線価(①の8割程度といわれることが多い)
④ 時価(実際の流通価格であり、東京などの都市部では①よりかなり高くなることが多い)
上記はいずれも評価主体や目的が異なるため、同じ不動産でも価格が異なっています。
相続の観点からいうと、①の公示価格はあまり使われる場面がありませんが、②の固定資産評価額は建物や郊外の土地などの相続税の算定に使われます。③の路線価は都市部の土地の相続税の算定基礎に使われます。④の時価は遺産分割や遺留分侵害額の算定基礎に使われます。
この中でも、①②③は評価主体が公的機関であり、それぞれの価格は1つだけですが、④の時価というのはもともと幅のある概念で、評価する不動産鑑定士や不動産業者等によって実に様々な価格がつきます。
遺産分割や遺留分侵害額の算定の場面では、どのような立場の相続人が主張するのかによって、次のように考えられています。
・不動産を現物で取得する場合には価格が低い方が得になることが多い。
・他の相続人から不動産の代償金や遺留分侵害額の支払を受ける場合には価格が高い方が得になることが多い。
そのため、同じ不動産でもその相続人の立場によって評価額(④の時価)の主張が違うということが起こるのですね。
教訓
相続における不動産の評価額の考え方を知ることは、相続人全員が納得の上で話し合いを進めて「笑顔相続」を実現するための大前提です。
わからないことが出てきたら、相続診断士の資格を持っている不動産鑑定士や不動産業者に聞いてみましょう!