【vol.134】相続Q&A~同一年中、同一の贈与者から暦年課税と相続時精算課税の併用は可能か~
質問
私A(40歳)は父(70歳)より毎年110万円ずつ生前贈与を受けています。
令和6年も1月に110万円の贈与を受けました。
この8月に、私Aがマイホームを取得することになり、購入資金の一部にと父からさらに1,500万円贈与を受けました。
住宅取得資金の非課税枠500万円を超える部分の1,000万円については相続時精算課税制度を利用しようと思います。
令和6年中の贈与税の計算にあたり、1月の110万円については暦年課税、住宅資の非課税枠を超える1,000万円については相続時精算課税とすることはできますか?
回答
相続時精算課税の適用は「年単位」となるため、令和6年から適用を受ける場合には、1月の贈与も8月の贈与も相続時精算課税の適用を受けることになります。
したがって、暦年課税の基礎控除110万円と相続時精算課税の控除110万円(新設)は、同一年中、同一の贈与者からの贈与について、併用することはできません。
教訓
昨年度の税制改正により、相続時精算課税の選択のハードルが下がりました。
しかし、本制度は一度選択してしまうと、これ以降に行ったすべての贈与について、相続税の計算時に持ち戻さないといけないため、選択の判断にあたっては慎重になる必要があります。
また、今回のように、制度理解が不十分ですと、後になってこんなはずではなかったということにもなりかねません。
大金が動く場合には、事前に税理士に確認するようにしましょう。