【vol.122】相続Q&A~マンションの評価方法について~

質問
マンションの相続税評価が変わるようですが、どのような評価方法になるのでしょうか?
回答
7月21日に国税庁より、マンションの相続税評価額の算定方法を新たに定める「居住用の区分所有財産の評価について」の通達案が公表されました。
通達案によれば、評価方法は評価水準(1÷評価かい離率)によって、「1超・0.6以上1以下・0.6未満」の3区分に分けられ、評価水準が0.6未満の場合に、適正水準まで相続税評価額が引き上げられることになります。
評価水準の基準となる評価かい離率は、建物の築年数、総階数、評価対象の所在階、敷地持分狭小度により、以下の算式により算出されます。
評価かい離率=A+B+C+D+3.220
A:当該一棟の区分所有建物の築年数×△0.033
B:当該一棟の区分所有建物の総階数指数×0.239(小数点以下第4位を切り捨て)
C:当該一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階×0.018
D:当該一室の区分所有権等に係る敷地持分狭小度×△1.195(小数点以下第4位を切り上げ)
「総階数指数」や「敷地持分狭小度」といった耳慣れないワードも登場し、評価方法もより複雑になっていきそうです。より詳しく知りたい方は、「パブリックコメント 居住用の区分所有財産の評価」とネットで検索すると、通達案の詳細な内容を見ることができます。
また、新たな評価方法は「区分所有マンション」を対象としており、裏を返せば、一棟すべてを所有しているマンションや販売用マンションは「対象外」になる見込みです。
【教訓】
通達案によれば、今後、区分所有マンションの相続税評価額は、理論的な市場価格の6割が最低ラインになると言われています。購入にあたっては、単に節税だけではなく、投資用としての利回りや成長性もきちんと見極めていく必要があるでしょう。