相続診断協会は、相続診断士の認定発行・教育・サポートを行っている機関です。

相続診断協会相続診断協会
0366619593

【vol.117】相続Q&A~離婚する時、相続で得た財産はどうなる?~

質問

父が亡くなり、約2000万円の預金を相続することになりました。
せっかく相続しても、今後、私が離婚する時に配偶者に「財産分与」として半分取られてしまうのではないかと思い、不安です。
離婚する時、それまでに相続で得た財産はどうなるのでしょうか?

回答

相続で得た財産は、「特有財産」(夫婦の一方が単独で所有する財産)となり、離婚する時の財産分与の対象とはなりませんので、大丈夫です(民法第762条第1項)
ただし、離婚する時に「これは相続で得た財産だ」と証拠によって証明できなければ、「夫婦共有財産」であると推定されて、財産分与の対象となって配偶者に半分持って行かれてしまいます(民法第762条第2項参照)。
客観的な証拠がなくても、いわば情況証拠から「○年前の相続によって一定の財産が増えた」という「事情」を認めて、離婚時の財産分与の金額を減額した判例もありますが(東京高等裁判所令和4年3月25日決定)、あくまでこれは例外的な救済措置であり、どんなケースでもそうなるという保証はありません。
相続で財産を得た場合には、後日そのことを客観的に証明するための書類(遺産分割協議書、遺言書、相続税申告書等)をきちんと保管しておきましょう。

参考(民法第762条)
第1項 夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。 )とする。
第2項 夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。

教訓

人生にはいつ何が起こるかわかりません。
何年も経ってから離婚する時にあわてないよう、相続で財産を得た場合には、そのことがわかる証類を大事にとっておきましょう。

バックナンバー

PAGE TOP