【vol.106】相続Q&A~後見人がいる場合の相続税申告の留意点~
質問
令和4年3月10日にAが亡くなりました。
Aには配偶者も子もおりませんでしたので、相続人はAの弟Bと妹Cです。
しかし、Bは認知症が進み、すでに意思能力はない状態です。
その後、令和4年5月20日にBの成年後見人として司法書士が就任しました。
このような場合に、相続税の申告における留意点を教えてください。
回答
相続開始時に成年後見人がついた場合、成年BとCで相続税の申告期限が異なりますのでご注意ください。
通常、相続税の申告期限は、「相続の開始があったことを知った日」の翌日から10ヶ月以内と定められています。
しかし、相続税基本通達27-4で、相続開始の事実を知ることのできる弁識能力がない者については、「法定代理人(今回の場合、後見人)が選任された日」の翌日から10ヶ月以内として取り扱うものとしています。
したがって、Cの期限が令和5年1月10日であるのに対し、Bの期限は令和5年3月20日となります。
教訓
相続開始時において、精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にあると認められる場合には、相続税法上の特別障害者に該当するとされ、障害者控除の適用を受けることができますので、あわせて抑えておきましょう。