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第5回 「お墓を守れるのか不安なんです」この相談増えています

皆さん、こんにちは、武藤頼胡です。突然ですがお彼岸にはお墓参りに行きますか?
実は鹿児島県は日本で一番お墓参りに行く県だそうです。そのためお花の消費量も多いです。
そして鹿児島県は校内暴力が日本で一番少なく、犯罪率も47都道府県中41位と少ないのです。
因果関係はわかりませんが、お墓参りに行くことで、お先祖様がいて、おじいちゃん、おばあちゃんがいて、自分がいるということを肌で感じると相手という存在への対応も違うのかななんて思いました。

今終活の相談で一番多い内容がお墓のことです。特に「お墓をどうやって守っていこうか」ということにご不安をお持ちです。
最近では守りやすい形やシステムも多々ありますのでまずはそのあたりからお話しします。

お墓というと竿石が縦に長い「○○家の墓」が一般的ですが、少し似ていて横に長く「ありがとう」のように言葉が刻まれている洋型のものも見かけると思います。
最近増えているのがビル型の納骨堂サイネージで遺影が投影されて専用参拝ブースでお参りする形や自動搬送式納骨堂土に埋葬するのではなく室内で安置するものです。
いわゆる立体駐車場のようになっていて、お参りは共同の参拝スペースがありその前でボタンを押すか受付でICカードをもらいかざすと約1分で、墓石全体ではなく、真ん中の30㎝角くらいが動き、自分の家のものが設置されるシステムです。そこでお参りをするというスタイルです。

仏花はいつも供え済みで手ぶらでいけることから仕事帰りに毎日いくという方もいらっしゃいます。
ルールとしては納骨できる人数や間柄、年数が決まっているところが大半です。
また、樹林墓ガーデニング葬はご存じでしょうか。いわゆる木の根元や花と一緒に納骨するお墓です。
区画を区切って個別に骨壺にいれて納骨するものや骨壺から出して全員で同じ場所に入るなど様々です。

一度入れたらもう取り出せないところもあります。
納骨堂も樹林墓もしっかりと各霊園の条件諸々の確認をすることが大事です。
3年前ですが、樹林墓を希望している80代のご婦人と3か所一緒に行きましたが結局購入されませんでした。
1か所、条件が合う良いところがありましたが、本堂からお墓に行くまでに3mくらいの坂がありそれが毎回お参りする際にけがをしそうで怖いという理由で止めました。
40代の私には何も気にならないので、なるほど!と勉強になりました。
実際に足を運んでみてお参りをするまでの導線も大事なので必ず見学に行ってください。

今、お墓は形状、方法、条件、管理者の考え方、あり方は多様です。
だからこそ家族の状況、想いや考え方に合うものもあります。
お墓選びは「何かあるかも?」とあきらめないことですね。お墓でなくても、海洋散骨や手元供養なども最近では「供養」の方法も多岐にわたっています。
それぞれ特徴などありますが、一番は「自分の家、希望、守ってくれる人の状況下」を踏まえての良い点、悪い点という目線で考えていただければと思います。

こんなことがありました。数年前にテレビ出演した際のことです。
主婦100人に聞きました。「ご主人と同じお墓に入りたいですか?」
アンケートを取った結果の意見を求められました。
「主人と同じ墓に入りたくない!と答えた主婦がアンケートの結果半数以上でした」と言われました。
それについての意見て何を話そうか、唐突かつ抽象的すぎて驚きましたが、半数を超えたという結果にも衝撃を受けました。
多少はいるだろうと思いますが半数を超えるって…世間のご主人様頑張れ!という気持ちが一番でしたが…実は理由は様々で、実家の母親と同じ墓に入りたい主人の両親とは入りたくないから、自分一人がいい海洋散骨したいなど選択肢が増えた今だからこそ起きてしまった問題点なのだなと思いました。

私はこのようにお話ししました。
「今お墓の相談で最も多いのが「どうやって守っていけば良いのか?」ということです。
昨年の相談者の女性は四つの墓(四家分)を守っていて子供は四十代男性独身が一人、どうしましょうというものでした。
どう承継していけばよいのか、私の代で終わらせてはいけない、ご先祖様に申し訳ない、でもどうしてよいかわからない。この話に当てはまる方も多いと思います。
主人と同じ墓に入りたくないという主婦の方、「生活の中で湧いてきた正直なお気持ちかとは思いますが、そのことでお墓を二つにするという選択が将来どうなるのかというところを想像して考えていただくのが良いと思います」と答えました。

お墓は自分の意見だけでなく、残念ながら入るときはこの世におらず、その後守っていくのは子供たちなので、必ず「継承者と相談して決める」これが重要です。
子供に迷惑をかけたくないと相談の開口一番におっしゃる方が多いのにその子供たちに何も相談していない方ばかりです。話すきっかけとして、お墓参りはとても良いと思います。
ここに入っているおばあちゃんの若いころは…などご先祖様の話題になりやすく、そして一歩進んで「実は私のお墓の希望はね」など自分の想いを伝えるチャンスです。
昔は何かきっかけがなくても大家族だったときは、自然に会話ができていましたが、核家族化になり子供にも遠慮するようになった今、「あえて話す」きっかけとしてお墓参りの時はとても話しやすくなります。
お墓の不安ごとを解消するには守ってくれる人と話すということが一番の早道です。
お彼岸やお盆などの機会を上手にお使いください。春は気持ちいいですね、どうぞ元気にお過ごしください。


執筆者名・プロフィール
一般社団法人 終活カウンセラー協会 代表理事
武藤 頼胡(むとう よりこ)様


【経歴】
終活カウンセラーの生みの親。『終活』という考えを普及するべく、全国の公民館や包括センター(行政)でのセミナー講師を担い、一人一人に「終活」を伝えている。
テレビ、新聞、雑誌などメディアへの掲載多数。
自分自身も終活カウンセラーとして、毎月巣鴨、浅草に立ち、アンケート活動を実施したり、その年代の方からの相談ごとを聴いている。
「全てのものとコミュニケーションの起きる場に」をモットーに同じ立場、同じ歩調を大切に日本の高齢者を元気にする活動に励む。

リンテアライン代表取締役社長
一般財団法人葬務振興会理事
一般社団法人全国遺言実務協会顧問
明海大学外部講師

【メディア出演】
2022年11月現在
NHKラジオ マイあさ終活回レギュラー
RBCiマイライフマイタイムレギュラー
日本農業新聞連載中(7年目)

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