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第1回 自分の終活をみつけよう

一般社団法人終活カウンセラー協会の武藤頼胡(むとうよりこ)と申します。ちなみ名前は男性と間違えられますが、女性です。
何卒宜しくお願いいたします。

「終活」って言葉は私が始めた2010年は誰も知らず、今や日本国民全員が「知っている」言葉になりました。しかし、講演のたびに先輩に質問します。
「終活していますか?」と。
答えは「必要だとおもうんだけどね、なかなかできないのよねぇ」とほとんどの方がおっしゃるように「していない」これが現状です。
言葉も知っている、必要と思っているのに出来ない。
「何でしていないのか?」と深く聞くと、お墓はまだ買っていないし、お葬式の見積もりを取ったり予約していないしとのこと。
そう、この終活はお葬式やお墓の準備、すなわち終焉活動というイメージなのです。

私はこの終活をこう考えます。「人生の終焉を考えることを通じて自分をみつめ今をよりよく自分らしく生きる活動」です。
要約すると「終わりから生きがいを考える活動」
そう、死ぬ準備のために生きているわけではなく、今をどうよりよく生きるのか、そのために先にある不安を元気なうちに考えましょう、すなわち「人生100年時代、生き甲斐を持ってまいりましょう」という生き支度を指しています。

私もこのような仕事をしておりますが、生と死の間があるような感覚で明日も明後日も10年後も20年後もあるように思っています。
五木寛之さんの林住期(幻冬舎)の中で、『死は背後に音もなく忍び寄ってきている。そしてポンと肩を叩いて「時間ですよ」と無愛想に知らせる「前からはこない」』というものを読んだ時、ゾクッとしました。
当たり前ですが予想ができないのです。また3年前にお亡くなりになった樹木希林さんの新聞の手記に「人間はいつかは死ぬのではない。いつでも死ぬんです」と書いてあったのを思い出します。
残念ながらいつというのがわからない。それでもこのことに向き合うというのはなかなか難しいことなのです。

4年前の5月15日に私の友人が亡くなりました。彼はまだ48歳で、奥様と19歳と16歳の娘2人を遺して。
亡くなる前の日に偶然お見舞いに行きました。命が終わるときを迎えているのがわかった、その翌朝彼は逝きました。
納棺を終え、家族と共に彼の自宅へ行きました。葬儀含む様々な準備をするためです。雑然とした彼の部屋。しかしそこには家族への想いがあふれんばかりに詰まっていました。
3台以上あるパソコンはパスワードが掛かっている。私たちが10分くらい考えればわかる場所にちゃんと記載がありました。
そして、今までの人生をどのように生きてきたのか、何千枚にも及ぶ写真と娘への想いのある品がたくさんありました。
彼の人生にやり残しはあったのか。若くして無念だったと思う。娘の結婚式も孫も見たかったと思う。未来をみたらキリはないが「今」を精一杯生きていた証がありました。半年に及ぶ入院があったことを考えると、彼は動けるうちに様々な準備をしていたのでしょう。

それは何のために?

愛する家族のためであったことは間違いありません。

昨今、「人生100年時代」という言葉をよく聞きます。
これは根拠としては、今、日本には100歳以上の方が約9万人いらっしゃいます。30年前は4千人でした。
そうです、毎年増えている。
100歳まで生きる確率も着実に上がっているのです。
この二つの側面から、いのちの終わるときがいつかはわからない、だからこそその時に後悔のないようなことを準備しておくことと、長生きをリスクにするのではなく、「楽しく」生きるために今からどうするのか。この二つを考えることが「自分らしい終活」をみつける早道だと思います。
私自身、最期には「いい人生だった」と思いながらできれば前のめりに死にたいと思います。まだ49年先ですけど(笑)
日毎に寒くなります。どうぞ元気にお過ごしください。

執筆者名・プロフィール
一般社団法人 終活カウンセラー協会 代表理事
武藤 頼胡(むとう よりこ)様


【経歴】
終活カウンセラーの生みの親。『終活』という考えを普及するべく、全国の公民館や包括センター(行政)でのセミナー講師を担い、一人一人に「終活」を伝えている。
テレビ、新聞、雑誌などメディアへの掲載多数。
自分自身も終活カウンセラーとして、毎月巣鴨、浅草に立ち、アンケート活動を実施したり、その年代の方からの相談ごとを聴いている。
「全てのものとコミュニケーションの起きる場に」をモットーに同じ立場、同じ歩調を大切に日本の高齢者を元気にする活動に励む。

リンテアライン代表取締役社長
一般財団法人葬務振興会理事
一般社団法人全国遺言実務協会顧問
明海大学外部講師

【メディア出演】
2022年11月現在
NHKラジオ マイあさ終活回レギュラー
RBCiマイライフマイタイムレギュラー
日本農業新聞連載中(7年目)

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