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【vol.91】『二次相続シミュレーションだけでは決められない遺産分割と、その後の対策』

相続診断士の皆様、はじめまして、若狭浩子と申します。大阪府豊中市で、税理士・行政書士事務所をしています。父が脳梗塞で倒れ、私自身が成年後見人になった経験から、家族信託や後見の必要性を感じ、相続対策の一つとして、熱心に取組んでいます。

①事例: 二次相続を考えたら、配偶者にあまり相続させないことがベスト?

お父様の相続税申告を依頼されました。法定相続人は、お母様、長女、次女、長男の4人
相続財産、名義預金の確認をし、ご家族の状況についてもヒアリングをしました。

相続税の概算ができると、よく次の質問をされます。
「最初の相続で、配偶者の相続分を減らしておかないと、二次相続で税金が大きくなって、大変なことになるんですよね?」

お母様が亡くなられた場合の二次相続シミュレーションをすると、今回お母様の相続財産を10%程度にすることが、最も節税になるという結果になりました。その説明とともに、今後の生命保険の活用や生前贈与などの対策も、ご紹介しました。

お母様は、法定相続分の取得を望まれました。若い頃はとても貧乏な暮らしで、コツコツと貯蓄してこられたそうです。その2人で築いた財産を、子どもたちが相続してしまう寂しさ、老後にかかる費用を自分の財産から支払えないかもしれない不安など。
ご家族は、お母様の気持ちを尊重され、法定相続分の遺産分割を決められました。

②子ども達3人の資産状況と遺産分割協議

長女、次女、長男の3人は、生活や家族、資産状況などに大きな差がありました。
長女は、ご主人の相続対策を早急に進めるべき資産状況、次女は生活が苦しく、資金援助が必要。転勤の多い長男は、少しゆとりがある程度の生活。

長女は、次女の生活を心配し、自分の相続分を減らす意向でしたが、お母様も次女も、そのようなことは望んでいませんでした。結局、子ども3人は、公平に分割することになりました。

③相続税対策と、老後の準備

相続税対策としては、生命保険加入をお勧めしました。一時払いで生存給付金を生前贈与することができ、非課税枠の500万円は死亡保険金として受取るタイプです。
そして、お母様は、次女の家族の生活援助もしたいと笑顔で話されていました。
相続税申告後、ご説明した家族信託と成年後見の制度。最近になり、お母様の物忘れが少し多くなり、不安を感じ始めたご家族から連絡が入りました。
「家族信託と任意後見について、もう1度、教えていただけますか?」
これからも、ご家族とのお付合いは続いていきそうです。

笑顔相続を目指す相続診断士として、家族信託の専門家として、今後もご家族の思いを大切にしていきたいと思います。
コロナ禍で、なかなか相続診断士の皆様にお会いできませんが、いつか皆様のご経験やお考えを聞かせていただき、一緒に仕事ができるよう願っています。

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