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【vol.90】『大事なことは想いも一緒に伝えること』

相続診断士のみなさま、はじめまして。大阪府堺市で税理士をしております虎本光代と申します。
当事務所は相続税の申告はもちろん、相続対策、遺言書作成など、幅広く多くの相談に対応しております。

近年「終活」という言葉が多くのメディアから発信されたこともあり、生前に遺言書を遺す方や財産の整理をご自分でされる方が増えたように感じます。しかしながら遺言書を遺す際において、分割内容に隔たりがあると実際に相続が発生した時に相続人間の仲が悪くなり思わぬ「争続」に発展することが多々あるので注意が必要です。
今回は遺言書の内容が不平等であるがために、相続人の仲が不仲になってしまった事例を取り上げたいと思います。

【不仲になる遺言書の例】

① 財産のほとんどが不動産の場合、家を継ぐ相続人に多くの財産を遺す
一部の財産だけを遺言書で遺す
予備的遺贈・補充遺贈の文言が無かったばかりに財産が他の相続人に相続される
遺言執行者を指定しなかったため名義変更が進まない
⑤ 最後に介護をした(若しくは看取った)相続人に有利な内容の遺言公正証書を遺す

【事例と相続診断士としてできる助言】

[1] 上記例①の場合、財産を遺す側からみると「家を継ぐ直系」に先祖代々の不動産を遺すことは『当然』と思っている方が多く、それが「争い」に発展すると考える方はほぼいません。なぜならご高齢の方はまだ「家督相続」という考えが基本的に残っているからです。
しかしながら現在では「権利は平等」と思っている相続人がほとんどです。その考え方の違いから思わぬ「争い」が起こってしまうのです。
このようなケースでは、相続人間で争う(不仲になる)可能性があることをお伝えし、生前に相続人に対し理由をしっかりお伝えするようアドバイスをします。

[2] 上記⑤の場合には、財産を遺す親御さんからしたら最後まで世話をしてくれた「子」に多くの財産を残したいと思って自発的に遺言書を残したのか、それともその「子」が誘導して書かせたのかはもはや亡くなった後では真実は分かりません。しかもこういうケースでは亡くなる直前に書かれたものが多いのも事実です。そうなると、他の兄弟である相続人からしてみれば、財産を多くもらう方が「書かせた」になってしまうのです。
このようなケースでは相続人が遺言書を見た瞬間から兄弟仲が悪くなった相続人も実際にいらっしゃいます。親御さんはそのような事を望んではいなかったと思います。
自分が作り上げた財産を子に渡したい、それだけのはずなのに言葉が足りなかったばかりに不仲になってしまうのです。
やはりなぜこういう遺言書を書いたのかその想いを伝える必要性はお伝えすべきです。

【さいごに】

遺言書を作成する若しくは財産をどうやって分けようかと相談を受ける際には、遺言書を遺すだけでなく、なぜこういう分け方をしたのかお子さんたちにお話ししてくださいねと必ずお伝えするようにしています。特に財産が少ない相続人の方には説明が必要だと強くお話しします。
実際に家族間でしっかり話し合いをされた相続人の方は分割協議の際に「お父さんが言ったとおりに分けます」と協議がスムーズに進むことが多いです。
このアドバイスは「笑顔相続」を広める相続診断士だからこそできることです。難しいアドバイスでもなんでもありません。
遺言書を遺すだけではなく、生前にしっかり「想い」を伝えることが何よりも「笑顔相続」につながる大切なことであることを説明することが重要だと思います。

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