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【vol.89】『覚書(家訓)でつなぐ家族の絆』

相続診断士のみなさま初めまして、静岡県浜松市で行政書士小野崎一綱事務所の代表をしております小野崎と申します。
相続における行政書士業務といえば、相続後は「戸籍請求」「遺産分割協議書作成」「法定相続情報一覧図作成」その他行政手続き金融機関手続きのお手伝いが主な業務となります。生前の相続対策としては、「遺言作成」「贈与契約書作成」その他少数ですが「信託契約書作成」などのご依頼があります。

その中で今回は「覚書」を活用した事例をご紹介いたします。
家族構成は、母と子供3名。お父さんを亡くされ相続手続きをお手伝いしました。
その後お母さんの相続対策として何を望まれているのかをヒアリングして、覚書が適しているのではないかと考えました。

お子様達は結婚して家を出た者、独身で家に残る者等兄弟とは言え頻繁に連絡を取り合う仲ではありませんでした。お父さんの死をきっかけに、これからの家のこと、お母さんの介護のこと、お墓の管理やお寺との関係などを一度洗い出そうということになりましたが、
お母さんの相続については意見がまとまっていて、遺言の必要性を感じませんでした。

それよりもこれからのこと。お母さんの生活、兄弟間の関係性、家を守る、○○家のルールとなる、「家訓」となるべきものを今作成すべきだと感じました。
これが覚書を選択した経緯です。

実は、相続対策では資産のことが主立ってしまいますが、親の死後問題になるのは、あのとき言った言わない、聞いた聞いてないなどのコミュニケーションの不一致。資産のことより、生活面や家をどう守るかということが多いです。残念ながら死人に口無しですから、相続後は親の考えを推測するしかありません。
兄弟はお互い思うことがあれば自分に良い方に意見を変えてしまうでしょう。そんなときに、皆で話し合った内容をまとめておく「覚書」は遺言とは違い家族全員で作成するものですから、笑顔相続に近づく一つの手段になると思います。

今回のケースでは、目的に「共通認識をまとめることで、○○家の発展と家族円満を末永く実現すること」と掲げ、家族全員が立ち戻れる書面を作成することができました。
誰一人かけることなく、全員で決め、協力し合うことをまとめたものなので、作成後不安が解消され、ほっとした皆さんの笑顔を今でも覚えています。
専門家がいることで今まで言えなかったこと不安に思っていることを家族に伝えられ、誤解を解きこれからの人生を前向きにとらえることができる、そんなお手伝いをこれからもしていきたいと思います。
相続診断士として、資産だけでなく心のケアや生活面、家族関係にも着目しサポートをすることで、より身近な存在としてお役に立てるのだと思います。

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