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【vol.88】『自宅にかかる道路の拡幅を契機に相続時精算課税贈与を行い、相続が円満に終了した事例』

はじめまして。静岡県沼津市で税理士・特定社会保険労務士をしています木村昌宏と申します。当事務所では、法人・個人事業主の方には永続的黒字経営の支援を、資産税に関しましては資産税専属の部門を設置し相続・贈与・事業承継対策のお手伝いをしております。

今回は以前セミナーを開催した際に、その内容からヒントを得たご夫妻から相談をいただき、実際に対策を行い、笑顔相続ができた事例をご紹介します。

<登場人物と主な相続財産>
長男(ご相談者本人 以下Aという)
財産所有者である父90歳 母は既に死亡
相続人は長男A以外に二男と三男、長女と二女の計5名

父の自宅に隣接する父名義の土地にAが自宅を建てており、食事などを世話
父の自宅の土地建物:約2,700万円
Aの自宅がある父名義の土地:約4,300万円
その他の財産:約3,000万円の計約1億円

<相談内容と結末>
Aの自宅がある父名義の土地に隣接する道路の拡張工事のため、父名義の土地の一部とA名義の納屋が収用にかかる予定があるとの事で、相続時精算課税制度を利用して父から土地を贈与してもらってから収用を受けられるかという相談でした。
母の一次相続の際に兄弟間の折り合いが悪くなっており、二次相続に不安があり、Aの自宅敷地の割合が大きく預貯金はほとんどないため、他の相続人から金銭などの要求を受ける可能性を心配されていました。

相続税シミュレーションをしたところ、相続税はほとんどかからない見通しでした。
遺産分割対策として収用にかかるAの自宅敷地について相続時精算課税制度を利用して贈与を実施し、贈与税額約360万円を納付。贈与実施の翌月に土地収用が行われ、Aが収用代金約1,500万円を受領しました。
そして、贈与の4年後に父の相続が発生し、遺産分割も無事終了。相続税の申告を行い、基礎控除額を下回ったため納付済みの税額約360万円は還付となったのです。

今回のケースでは、土地収用前に贈与を行ったことで、収用に伴う補償額も含めて長男が受領し、父の相続財産の増加を防ぐことができました。
補償額は収容上の評価額によるため、実際の土地の評価額を上回る金額で若い世代に現金を移すことができています。
長男夫妻は自宅敷地の名義も早めに変更でき、その後の遺産分割ももめることなく済ませることができ、相談者から大変喜ばれた事例となりました。

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