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【vol.86】『遺言を残そうとされたきっかけ』

みなさま、はじめまして。行政書士の梅園 浄(ウメゾノ ジョウ)と申します。
私は、浄土真宗の僧侶でもあり、大阪府八尾市で、私の住まいでもある、お寺の境内地に事務所を設け、お寺のことをしながら、相続に関すること、遺言の作成やその他終活に関すること、宗教法人の事業に関わることなどのお手伝いをさせていただいております。
今回は、ある相談者が、遺言を作成しようと決心されるきっかけとなった事例について紹介させていただきたいと思います。

【事例】

ある日、事務所に相談者さまからお電話があり、お宅にてお話を伺っておりました。
内容としては、お兄さまが亡くなられ、その相続手続きを進めたいとのこと。
お兄さまについては、配偶者、お子さま、ご両親ともにいらっしゃらないとのことでしたので、考えられる相続人は相談者さまを含む8人の兄弟姉妹のみ
相続財産は、ご自宅の土地と建物と僅かの預貯金のみとのことで、遺言なども残されていないということでした。

実は、そのお兄さまが亡くなられたのは5年前のことで、一度相続手続きを進めようとされたようですが、手続きは完了することなく、現在まで宙ぶらりんの状態でありました。その間、相続人の中には亡くなってしまった方もおり、お兄さまが亡くなるよりも前に亡くなっていた方を含めると、残っている兄弟姉妹は相談者さまのみとなっておりました。代襲相続だけでなく、数次相続も起きている状況だったのです。

ひとまず相続人の調査だけでも進めていこうと、調査を開始したところ、お兄さまより後に亡くなられた兄弟姉妹には、離婚歴・再婚歴がある方も何人かいらっしゃり、その配偶者や子供を含めると、相続人は多岐に渡る状況でした。
5年前に相続手続きは既に完了していると思われていた方や、海外で暮らしている方連絡の取れない行方知れずの方面識のない方が数名いることなど、他にも調査に時間を要すると考えられるものもありました。状況次第では、弁護士の先生に引き継ぐことも考えなくてはなりません。

現在も調査等を進めている段階ではありますが、先日、その相談者さまからこんなことを質問されました。
「もし、兄が遺言を残していたらどうなっていたのでしょうか?」
内容にもよりますが、少なくともここまでの状況にはなっていない可能性が高いということをお伝えすると、相談者さまは、ご自身の遺言を残したいと仰いました。
自分の家族がとても大切だということ、その大切な家族に自分が亡くなった後に大変な思いをさせたくないということをお話してくださいました。

現在、相談者様、そのご家族と一緒に、話し合いを行い、その上での遺言の作成を進めているところです。相談者様のご家族も遺言の作成について大賛成といった様子で、私も嬉しく思います。
相談者さまは今回の件で、遺言の有無で、その後の相続手続きの進み方が違うということを実感され、ご自身で遺言を残したいと決心されたわけですが、却って、遺言が原因で「相続」が「争続」にならないようご家族としっかりとお話をさせていただきながら、「笑顔相続」と繋がっていくようなお手伝いをしていきたいと思います。
争続を無くし、笑顔相続を増やしていけるよう、遺言などの生前対策の重要性を、少しでも多くの方に伝え、様々な方のお手伝いをしていきたいと改めて感じさせていただいた事例となりました。

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