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【vol.85】『遺言を書き換えて『笑顔相続』になった事例』

相続診断士の皆様、はじめまして。名古屋市のさくら総合法律事務所で弁護士をしています、竹内裕詞と申します。
当事務所は相続関係の案件を多く扱っており、遺産分割協議、遺言作成、家族信託組成などの依頼に対応しています。
今回は、私が経験した遺言作成案件をご紹介します。

相談者(A)の伯父(B)名義の土地の上に、伯父(B)の自宅と相談者の父(C)の自宅が並んで建っています。
相談者の伯父夫婦(B夫婦)には子どもがいないため、伯父夫婦が相談者(A)に老後の世話をしてもらいたいと頼んで相談者の父(C)に自宅を建てさせたものです。
伯父の妻(D)と相談者の母(E)が実の姉妹という関係です。

相談者は父の自宅に住んでおり、実の子どものように隣家である伯父の自宅を訪ねて、伯父夫婦と交流していました。
伯父(B)は自分が死んだら全財産を妻である伯母(D)に相続させるという遺言を、伯母(D)は自分が死んだら全財産を妹である相談者の母(E)に相続させるという遺言をそれぞれ作成していました。
ところが、数年前に伯母が亡くなり、最近になって伯父が末期のガンであることが判明しました。相談者は伯母を看病して看取り、伯父も親身に看病していましたが、伯父が死んだら父(C)の自宅はどうなるか心配になりました。
伯父に尋ねると、遺言があるので心配いらないと言われたのですが、この遺言で母(E)が伯父の土地を相続できるか不安になり私の事務所に相談に来ました。

相談者の伯母(D)は既に亡くなっているので、伯母に全財産を相続させるという伯父(B)の遺言は無効です。相談者の母(E)は伯父の遺産を何も相続できません。
私は、急いで伯父に新しい遺言を作成してもらう必要があると説明し、公証人にお願いして出張してもらい、病床の枕元で、全財産を相談者(A)に遺贈するという内容の伯父の遺言を公正証書で作成してもらいました。伯父は、遺言を作成した後、本当に安心したと私におっしゃいました。

遺言を作成して数ヶ月後に叔父が亡くなりました。しばらくしてから葬儀にも顔を出さなかった伯父の甥(F)がやってきて、相談者に対して、自分は伯父の遺産の相続権があると言いました。遺言書を書き直さずそのままにしていたら、法定相続人であるこの甥が伯父(A)の遺産を相続することになるのです。
相談者は、伯父が自分に全財産を遺贈するという遺言を書いてくれたと説明。甥は諦めて帰っていきました。
兄弟姉妹に遺留分は無く、その甥である彼に関しても勿論遺留分の請求は行えません。

相談者から遺言を作って本当に助かりましたと連絡をいただきました。
伯父様の希望を叶えることができて、私も本当に良かったと安堵しました。

遺言を作ることも大事ですが、定期的に見直すことはもっと大事です。
事情が変わったのに遺言を書き換えていなければ、本人の希望とかけ離れた結果になってしまいます。
遺言作成のお手伝いをしたお客様には定期的に連絡を取り、書き換えの必要が無いか観察することをおすすめします。

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