相続診断協会は、相続診断士の認定発行・教育・サポートを行っている機関です。

相続診断協会相続診断協会
0366619593

【vol.84】『笑顔相続を知っていたら・・・』

相続診断士の皆様、こんにちは。あおぞら法務事務所行政書士の久保秀策と申します。前職は検察官副検事で行政書士開業12年目になります。
開業早々、年の離れた姉の友人で子供のころから可愛いがってもらったAさんから相続の相談を受けました。まだ「相続診断士」や「笑顔相続」を知らない頃です。
何しろ初めてのことで、あわてて本を読み「遺言」と「法定相続」と「遺産分割協議」を頭に入れて、Aさんに会いました。
今回はその時に体験した事例を紹介します。

[事例]
Aさんは、ご主人と2人の息子さんがいます。
ご主人と2人で今の会社を立ち上げ、業績も順調に伸ばしています。
ご主人の方針で息子さん2人は上場企業に就職させて跡をつがせることはないとのことでした。

Aさんに会って話を聞くと、資産は不動産や預金など全部で2億円くらいあるとのことでした。
ご主人が入院中なので相続がどうなるか心配で話を聞きたいとのことでしたので、遺言や法定相続について説明しました。
Aさんは、私の話を聞くと「法定相続やと私に1億円、息子2人に5000万円づつということやね、分かった主人に言うとくわ。」というので、私は「もしものことがあるといけないので、遺言書を書いてもらっていた方がいいのではないですか。」と言いましたが、Aさんは「ええねん、うちの子どちらも私のいうこと聞くからもめることないねん。」といいました。
それでも心配で後日ご主人を交えて話をしましたが、ご主人は「家内の言う通り、うちの息子は親のいうことを聞くので、遺言書の類は必要ありません。と言い切るので、遺言書作成には至りませんでした。

後日、ご主人が亡くなったと聞いたため、Aさんに電話すると息子2人に500万円づつ渡して、あとはお母さんに持たしといて、お父さんと2人で築いた財産やから、私が死んだら2人で分けて、というと息子らも承知してくれたんよ。」と言いました。
私は、あの人らしいなと思うとともに、すこし乱暴だなと思っていました。

しばらくして姉から電話があり、「Aさんのとこがもめている、次男の嫁さんの親が事業をしており、遺産をあてにしていたのに入らないから、弁護士をたてた。Aさんは『あの女、うちの財産が目当てで息子と結婚したんだ』といい、徹底的に争うつもりだと言っている。」と伝えられました。
争族への発展です。案件としても、私は身を引かざるを得なくなってしまいました。

私はこのことで遺言・相続についてはトラウマになり交通事故、交通聴聞、告訴状作成などの刑事法務に特化していきましたが、2019年ふとしたことから相続診断士のことを知り、相続を一からやってみようかと思うようになりました。
第一歩セミナーも東京と大阪で受け、地区の例会にも出席し、そこで「笑顔相続」への理解を深めました。
あの時「笑顔相続」を知っていたら…ご主人がご健在のうちに、事前対策の重要性想いを残す大切さを伝え、遺言書を書いてもらうよう説得できていれば…もう少しうまく対応できたのではないかと思っています。

いわば失敗事例になりますが、現役の相続診断士の皆様のご参考になれば幸いです。

PAGE TOP