相続診断協会は、相続診断士の認定発行・教育・サポートを行っている機関です。

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【vol.81】『相続診断士として活躍するために』

相続診断士の皆様、初めまして。島田信一税理士事務所の所長をしております島田と申します。
現在、三重県四日市市において開業しており、全国各地から相続に関するご相談を多数承っております。
弊事務所の特色としては、理論と実務の両面からお客様に最善のご提案をさせていただき、フットワーク軽くご対応させていただく点にあります。

実務経験を深めるにつれて、相続は奥の深いものであると感じさせられます。
相続診断士として活躍する中で、今更ながら基本が大切であると痛感する日々です。

今回は、相続のお仕事に初めて携わられる先生方に向けて実務上の頻出事項を私の経験事例を踏まえてお伝えできればと思います。

【事例①】
暦年課税と相続時精算課税の何れを採用すべきか。

これは相続のお仕事をされる場合に必ず登場する論点です。私は、暦年課税の方が結果として笑顔相続につながり易いと感じています。一つの理由として、相続時精算課税を選択した場合、結果として相続税額が当初想定時と比較して多額となるケースが起こり得るからです。
例えば、相続時精算課税に基づき贈与した資産の贈与時の価格の方が相続発生時の価格よりも非常に高いケースが該当します。何で何十年も前の高い価格を使わなければいけないの?というような疑問が相続人の方々に生じます。この場合、相続時精算課税の取り下げを行うことはできません。
一度相続時精算課税を採用すると暦年贈与を翌年以降の贈与の際に使うことができなくなる点も当該制度の使い勝手が悪い点です。
その点、暦年課税は、相続開始前3年以内加算の問題等を除けば、基本的には、毎年、毎年、贈与が「完結」するという分かり易さがあります。
相続が発生した場合に笑顔相続を実現するためにも、両制度のメリット・デメリットを十分に理解した上で、最善の選択結果に導くことが相続診断士として重要であると考えます。

【事例②】
関係者様のご了解を得た上で不動産の現地確認を行う。

相続のお仕事をされる場合には、不動産の評価がつきものです。
一度は聞かれたことがあると思いますが、評価する人によって不動産の相続税評価が変わってしまう場合があります。そもそもなぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか。
原因の一つとして、その不動産のことをどれだけ理解しているかということが挙げられると思います。特に土地の評価を行う場合には、現地の確認は必須であると考えます。
私の経験上、現地を視察することで、「感じる」ことが大変多く、場合によっては、税務上の重要論点の見落としの防止にも繋がります。現地の写真をできる限り多く撮りましょう。
以前、相続税申告にあたり、地積規模の大きな宅地の評価の適用を行った事例で、市街地農地の現地調査に行ったことがあります。土地の長さや深さ等を実際に測りましたが、足場が非常に悪いので、足を滑らせて泥まみれになってしまいました。大変な思いはしましたが、地図上もしくはリモートだけでは分からない現地の実態を肌で感じることができ、より正確な土地の評価に繋げることができました。ご相続人様からも丁寧な仕事内容について感謝のお言葉をいただき、結果として笑顔相続に繋げることができました。

結び

相続診断士としての仕事を行う際には、私の経験上、理論(お勉強の世界)と実務(現場)の両面から最善の選択肢及び予測結果をとことん追求することが重要であると考えます。相続に関する論点は多数あり、私も日々研鑽に努めておりますが、やはり「基本」が極めて重要であることは間違いありません。
これから相続に関するお仕事を始められる先生方もその点について今一度ご認識いただければ幸いでございます。

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