相続診断協会は、相続診断士の認定発行・教育・サポートを行っている機関です。

相続診断協会相続診断協会
0366619593

【vol.76】『内縁の夫と兄弟姉妹』

相続診断士のみなさま、初めまして。大阪市中央区で山田祐子税理士事務所の代表をしております山田祐子と申します。
「家族の笑顔」と「命でつながる」を大切に相続のお手伝いをさせて頂いております。どうぞよろしくお願い致します。

今回は、内縁の夫と兄弟姉妹で遺産分割があった事例についてご紹介します。

被相続人 Aさん
相続人 妹2名(うち1名とは不仲)、甥5名
受遺者 内縁の夫Bさん
相続財産 マンション(Bさんと共有名義)、現預金9,000万円

司法書士の先生からのご紹介で、Aさんの内縁のご主人Bさんが申告のご相談に来られました。
10月初旬ガンと診断されたAさん。余命宣告をされたこともありBさんは知り合いの税理士に相談したところ、通帳にある預金を全額引き出すようにアドバイスを受け10月中に纏まった金額を引出すことにし、その後司法書士先生と相談し体調が良いときに遺言書を作成することになりました。
その遺言書の内容は、マンションはBさん、残りの全財産を仲の良かった妹のⅭさんに相続すると言う内容でした。

Aさんと同居していたBさんは遺言書があるから仕方ないと頭では理解しつつ、マンション以外の全財産を妹に独り占めされることを納得できずにいらっしゃいました。

Bさんがご相談に来られて5日ほど経った時に妹のⅭさんから事務所に相談のご連絡が入り、娘さんとお二人でお見えになりました。
ご相談は相続税の申告を別々にして欲しい、本当はマンションも渡したくないという内容でした。

その後それぞれに対する不平不満のお電話を頂く日々でしたが、Aさんが残された財産が原因でAさんに近しい方々に揉めて欲しくないという思いから、お二人に「Aさんの思い出話を一緒にしませんか?」と持ち掛けてみました。断られることも覚悟の上でのお誘いでしたが、お二人とも「そうですね」と言ってくださり、初めてBさん・Ⅽさん・Ⅽさんの娘さんで、Aさんの生前の思い出話をする事ができました。
その時に「Aさんは自分が残した財産で揉めて欲しいって思われてたんですかね」と問いかけてみました。
みなさんそれぞれに考えてくださり、Cさんは「今では他のきょうだいとも付き合いもなく今はBさんが兄みたいなものですしね」と仰り、「それだったら僕も妹って思ってるし、これからもお参りに来てやって欲しいと思ってる。だからAの決めた遺言内容に従うことにするよ」とBさん。
帰り際には握手をして帰って行かれ、財産だけではなく想いもしっかり引き継いで頂けたと思えた瞬間でした。

遺言書があれば優先されることは言うまでもないですし、申告書だけを作るのであれば相続人の感情を受け止めていてはきりがない事も事実です。
でも法律でも解決できないこともあると思い、人の気持ちにしっかり寄り添いながら相続が円満に笑顔で終わって頂けるようお手伝いし続けたいと思った事例でした。

PAGE TOP