相続診断協会は、相続診断士の認定発行・教育・サポートを行っている機関です。

相続診断協会相続診断協会
0366619593

【vol.69】『生前の財産整理と相続』

相続診断士の皆様はじめまして、愛知県一宮市で司法書士として活動しております三田佳央と申します。
私は、主に成年後見業務に携わっており、実際に認知症になっている人の後見人として活動しています。
成年後見とは、認知症などの精神障害や知的障害を持っている人に代わってその人の財産を管理したり、医療・介護・生活上の手続きをする制度です。
今回は、私が後見人として関わる中で気づいた笑顔相続に繋がる方法を紹介します。

今回の相談の内容ですが、Aさん(80代女性)の甥に当たるBさん(60代男性)は、Aさんの自宅の近くに住んでいることもあって日頃からAさんの身の回りの世話をしていました。
しかし、Aさんに認知症の症状が出てきたため、BさんがAさんの世話をする負担が大きくなっていきました。そこで、私のところに相談に来られました。
BさんがAさんのことで心配していたことの1つに、Aさんが自分の財産を把握できていなかったことがありました。
Aさんの夫と両親はすでに亡くなっており子どもがいませんので、Aさんの兄弟姉妹が推定相続人(法定相続人になると想定される人)となりますが、その兄弟姉妹の中でもすでに亡くなっている人がいるため、その子が代襲相続人となり推定相続人の人数が多いことがわかりました。Bさんの父はAさんの兄でありますがすでに亡くなっているためBさんも推定相続人に当たることになります。

私は、後見人としてAさんの財産を調査したところ、複数の預金口座の通帳や国債、株式、共済、生命保険など多数の財産を保有していることがわかりました。
そこで、私は、複数の預金口座のうち一部のものを解約して残した口座にまとめたり、生命保険の内容を見直したり、不要な契約を解約したりして、Aさんの財産を整理しました。
相続が発生したときに相続財産の数が多いとそれだけ相続人の負担が大きくなってしまいます。また、相続人になる人にとっては、自分が相続人になったときにどのような財産を相続することになるのかがわからなくて不安を感じているという話をよく聞きます。

そこで、事前に自分の財産について目録を作成するなどして保有する財産が一覧できるようにしておいたり、預金口座の数を少なくして財産を整理したりしておくことで、相続人の負担を軽減することができます。
また、今回のような兄弟姉妹が相続人となるようなケースでは、相続人同士が遠方に住んでいたり疎遠になっていたりして、相続が発生したときに遺産分割協議をすることが困難なことが少なくありません。
そこで、事前に遺言書を残しておくか、遺言書を残さないとしても、誰にどんな想いがあるのかをエンディングノートなどで残しておくと、遺産分割協議がまとまりやすくなると思います。

認知症になると、財産を把握・整理したり、家族に対して自分の想いを残すことがかなり難しくなってしまいます。
歳を重ねるごとに認知症になるリスクが高まりますので、残される家族のことを想うのであれば早めにその想いを残すことの大切さを、後見人として関わって実感しました。
このコラムが相続診断士の皆様の役に立てれば幸いです。

 

PAGE TOP