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【vol.54】想いを伝えた遺言書

相続診断士の皆様、はじめまして。行政書士法人 倉敷昭久事務所 代表行政書士倉敷昭久と申します。
現在、全国5 ヶ所に拠点事務所を設けてその周辺エリア14 都府県で相続専門に日々活動をしています。
当法人単独では年間約3,500 件、グループ全体では年間5,000 件超の相続・遺言書に関わる相談をお受けしています。
行政書士事務所開業当初から相続を専門にして16年目になりますが、未だにこれは初めてのケースだなという案件にあたります。
当に「事実は小説よりも奇なり」で相続は奥深い仕事であることを日々感じています。

今回は私が出会った素敵な遺言書についてご紹介します。

事例

お亡くなりになられたのはご主人様で80 代半ばでのご逝去でした。奥様からの相続手続きに関するご相談でした。
ご主人様が遺言書を残していらっしゃるということでしたが、共同相続人である3 人のお子様からは異議が出るであろうと不安を感じていらっしゃいました。

その遺言書は巻物に毛筆で書かれていました。
かなりの長文であり、ご主人様と奥様の出会いから遺言書をお書きになられた時までのご夫婦の歴史が書かれていました。
そしてご主人様の奥様に対する深い愛が鮮明に映し出されており、
遺言書と言うよりはご主人様から奥様にあてられた最後のラブレターのようでした。

感動に包まれながら読み進めていくと、お子様達に奥様の今後を託し、改めて奥様への感謝の言葉と共に全財産を妻に相続させるという文言がありました。
遺言として有効なのはこの部分だけで、3 人いるお子様達の遺留分は完全に侵害されていましたが、
当初の奥様の懸念は当たらずお子様達は揃って笑顔で父の遺言通りに手続きをしてくださいと言われ、笑顔相続は完結しました。

実はお子様同士は決して仲の良い兄弟ではありませんでしたが、この相続を機に関係修復されました。
ご主人様の奥様に対する想い、家族への信頼が記された遺言書は大きな仕事をしました。

相続の現場に立つものとして相続のトラブルは、金銭のトラブルよりも感情のトラブルであることが多いと実感しています。
先の事例は当に相続人の心を繋ぐ見事な遺言書であったと思います。

一方で法律の定める権利のみを注視して心に寄り添わない遺言書を残して、かえって感情のトラブルに拍車をかけるような遺言書も多数見てきました。
また、
適正な遺言書があれば争いにならずに済んだのに、
事前にこのような配慮をしておけばここまで大きな争いにならずに済んだのに、
と思うことも少なくありません。

我々は多数の相続手続きに関する相談をお受けしています。
その多くが相続発生後のご相談ですが、相続はその時のご相談者自身或いはその周囲の方を含めてその後も起きていきます。
次の相続を争族にしないようにするために、我々の経験と知識を活かしていただけるように、その場限りの仕事をしてはいけないと思い定めています。

また、自身の周りにあらゆるフィールドのプロを置き、
常に助言を求めることの出来る環境の構築が重要です。
己の力を過信しないことが重要です。

士業界は非常に了見の狭い業界で、行政書士は低く見られることも少なくありませんでした。
しかし、実績を積み上げていくと様々な士業の方々、士業以外のプロフェッショナルと言える方々からもお声かけいただくようになり、広く連携体制も整いました。

開業当初の熱を持ち続け、培った経験と人脈を活かして、笑顔相続の増加に全力を尽くしたいと思います。

 

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