相続診断協会は、相続診断士の認定発行・教育・サポートを行っている機関です。

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【vol.49】笑顔相続への架け橋

相続診断士の皆様、こんにちは。

札幌市中央区にて開業しております、税理士の渡邊寧子と申します。
このたび、相続診断協会のパートナー事務所としてお手伝いさせていただくこととなりました。
どうぞよろしくお願いいたします。

さて、法務省では、民法(相続関係)等の改正が検討されています。
平成30年1月16日に開催された部会の結果、民法(相続関係)等の改正に関する要綱案(案)が公表されました。

改正案の最大のポイントは、被相続人の配偶者の生活を安定させることにあり、配偶者が自宅に住み続けられるようにする「配偶者居住権」を新設するほか、婚姻期間が20年以上であれば、生前贈与や遺言などで譲り受けた住居を遺産分割の対象から外すことなどが挙げられます。

また、相続の権利がない親族が介護などに尽力した場合、相続人に金銭を請求できる制度の新設なども盛り込まれました。

 

事例

ここで、私が実際にご相談を受けたあるご家族の事例をご紹介いたします。

このご家族は、お父様が亡くなられ、お母様とご息女のお2人でした。
お父様は7人兄弟の末っ子でしたが、そのお父様が亡くなられた後、そのご兄弟とは疎遠となっていました。

しかし、ある日、お母様にそのお父様のご兄弟の一人である義姉Aさんより連絡がありました。
話を聞くと、その義姉Aさん(独身・ひとり暮らし)は最近病気で倒れ介護が必要な状態となり、一人で生活することが困難となってしまったそうです。

 

そこで、他の兄弟に生活の援助を頼みましたが誰も協力してくれず、困り果てて義妹であるお母様に連絡があったのでした。

お母様とご息女は初めこそ血のつながりのない義姉Aさんの介護をすることに抵抗がありましたが、悩んだ結果、介護を引き受けることになりました。

 

その後、介護を引き受け数年経過した頃、義姉Aさんより、

実はずっと一人で生活してきたこともあり、数千万の現金がある。

しかしこれを自分の死後、自分の介護を断った兄弟たちに一切渡すつもりはなく、ずっと介護をしてくれているお母様にすべて渡したい

とのお話があったそうです。

 

しかし、お母様には相続権はないため、どうにかならないでしょうかというご相談でした。

そのため、公正証書遺言の作成をご提案させていただき、義姉Aの財産をすべてお母様へ渡す旨の遺言書を作成されました。

 

その後、義姉Aがお亡くなりになったとのことでお母様からご連絡をいただき、

もめることなく遺言書のとおり、遺産を受け取ることができました

とのご報告を受けました。

 

この時、お母様とご息女様より、

恐らく事前にご相談しなければ争い(争族)になっていました

との感謝の言葉をいただきました。

 

現在、高齢化社会化に伴う家族介護が増加しているため、こういった事例はどんどん増えてきています。
そのため、今回の改正は法の面からも貢献度を評価することができるため、非常に大きな意味を持つものだと思います。

相続に関する税理士の仕事は、相続税の申告はもとより、相続税の事前対策になるかと思います。
税制を含め相続の制度は複雑です。

 

平成25年度税制改正により、遺産に係る基礎控除額が引き下げられ、平成27年以降は、相続税申告の対象となる方が増えています。そのため、相続について意識される方が増えているとはいえ、まだまだ

「誰に相談していいのかわからない」
「うちはお金ないから関係ない」
「うちの家族は仲がいいから大丈夫」

と思われている方が多く、遺言書の作成など相続準備に至る方は少ないように感じます。

 

また、相続税とは無縁だと思っていた一般家庭にも波及していくため、税額だけでなく、申告に伴う各種手続きも大きな負担となりかねません。

そんなときに備えて、安心して相談できる相続診断士の存在が笑顔相続への架け橋になっていくのではないでしょうか。

 

 

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