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【vol.17】エンディングノート活用による笑顔相続

相続診断士の皆様、こんにちは。
吉川綜合法律事務所代表弁護士の吉川大介です。 当事務所では、相続トラブルの発生をあらかじめ予防するための遺言作成のお手伝いから相続トラブルが発生してしまった後の遺産分割協議のご相談等,相続全般に関するご相談を幅広くお受けしています。特に,不動産の相続に関しては,私自身の不動産鑑定士補としての業務経験を活かしつつ,他士業との連携をとりながら依頼者様にとって最善の解決をご提案させていただいております。
相続に関して当事務所がお手伝いする事案の多くは,ご相談時に既に親族間で争いが生じているものですが,事前にご相談いただいた上でエンディングノートを作成していれば,相続が「争族」にならずに済んだと考えられる事案も多数あります。「争族」とならないようにするためには,遺言を遺すだけではなく,エンディングノート等によって,残された親族に気持ちをしっかりと伝えることが非常に大事です。

 

≪事例≫

具体的な笑顔相続の事例をご紹介いたします。ご紹介する事例は,遺言の他に,エンディングノートに代わる手記があったために,笑顔相続となった事案です。
父親がすでに他界,70歳になる母親には3人の子供(長男、次男,三男)がいました。母親は,3年前に足を怪我してから介護が必要となり,母親の近所に住む長男及び次男の家族が,交互に母親の介護をしていました。そのような中,母親が遺言を遺して亡くなりました。その遺言には,介護に一切かかわっていない,遠方に住む三男に遺産の全てを相続させる旨の記載があったのです。この遺言を三男が持っていたことから,遺言自体の有効性を含めて三兄弟の間で争いが勃発するとともに,それまで仲の良かった三兄弟の仲も険悪なものとなってしまったのです。その後,母親の所持品のなかから,手記がみつかりました。その手記には,大学に進学して大手企業に就職した長男,次男と異なり,当時の資金的な理由から大学進学を希望していた三男には大学進学を断念させてしまったので,せめて三男に対しては遺産を遺してあげたいとの言葉が書いてあったのです。長男及び次男は,当初,遺言の無効を争うことを考えていましたが,この手記をみて,遺言の無効を争うことは勿論,遺留分についても放棄し,母親の希望どおりの相続が実現できました。また,手記を見た後は,三兄弟の仲も従前どおり,よくなりました。

 

上記の事案は,母親の手記があったために円満相続が実現できたものですが,実際には手記等があるケースは稀です。単に相続する権利内容を記載した遺言だけでは,どのような気持ちでその遺言を遺したのかはわからず,将来,「争族」となってしまう可能性は否定できません。「争族」となってしまわないようにするためには,残された親族に対して気持ちを伝えていくエンディングノート等の活用は重要であると思います。
エンディングノートの活用等により,相続診断士の皆様で笑顔相続を普及させていきましょう。

 

 


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