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【vol.125】「問題提供型から問題解決型への道筋」

相続診断士の皆様、はじめまして。大阪市西区で相続診断協会パートナー事務所をしております、行政書士 有馬浩 と申します。
私が相続業務に特化し、「相続診断士」になるきっかけになった事件についてお話します。

私の古いお客様で、兵庫県西宮市でご長男と会社を営んでおられた経営者の方がいらっしゃいました。この方を以後、A氏といいます。
A氏は、仕入・営業から帳簿の記帳まで、会社の業務は全てお一人でこなしておられました。
当然に、銀行の取引など、通帳・カード・印鑑は全てA氏の手許で管理していました。
また、創業以来、取引先とはA氏がほぼ一人で折衝しており、ご長男はこれまでA氏の指示により動いてきました。
そのため、ご長男は取引先とは積極的な関与がなく、取引の概要は知っていても詳細についてはよく知らないということが少なからずあったようです。

私は、毎月1回A氏の会社を訪れて、会計記帳その他A氏の事業の相談に応じていました。
職人気質であったA氏でしたが、3年ほど前より、「そろそろ長男に会社を任せたい。」というご意向を示されるようになってきました。私はそのたびに、まず手始めとして会社の業務をご長男に引継ぎながら共有するよう、また、ご自宅不動産や資産の相続について具体的にお考え頂くよう提案していました。
しかし、「長男に仕事を引継ぐことは少しずつ考えるが、自分は年齢の割に元気な方だから相続のことなどまだまだ先の話と、私が提案したことはあまり意に介しておられませんでした。

2年前の6月のことです。その日は、月に一度A氏の会社を訪れる約束の日でした。
A氏の会社に向かっている私の携帯電話にご長男よりA氏が今朝亡くなったという知らせがありました。
朝起きてこないので見に行ったところ亡くなっていたそうです。突然のことで俄かには信じがたいことでした。

ご家族だけでご葬儀を営まれ数日経ったある日、ご長男より「会社としてまず、何をしなければならないか相談したい」という電話がありました。
お話を伺うと、「請求書の送付と支払いをしなければならないので、各取引先に対する売掛金請求の状況や仕入先からの請求と支払いの状況について詳細を整理して欲しい」というご依頼でした。
そこで、まず銀行の通帳を記帳してもらい残高を確認、そしてカードと印鑑を揃えてもらいました。
そして、帳簿をお借りして事務所に持ち帰り記帳整理して債権債務の一覧表等を作成し、翌日お渡してこれを基に売掛金の請求と支払いをするようお願いしました。

ご長男は、実際に売掛金回収と支払業務をやってみて、そして取引先と慣れない折衝をしていく中で、ご自身だけで事業の継続は不可能と判断されたようです。
そして、悩まれた末に廃業することを決断されました。ご長男がいるにも関らず、事業の承継に何も備えがなかったために、A氏が創業し20年以上続けてこられた事業が終わることになったのです。
A氏の相続に関してもご長男より私に相談があったのですが、結果的にご長男の奥様のご友人で相続関係のお仕事をされている方にお願いすることになりました。
当時、私は相続に関する業務経験は浅かったので、結果的に良かったのではないかと思っています。

A氏が亡くなって1年後、ご長男とお会いしてお話をする機会がありました。
会社は問題なく清算できたのですが、相続ではいろいろと予期せぬ問題があったようです。
それは、相続人(ご長男とその弟様)が全く知らなかったもう一人の相続人の存在でした。
A氏は既に亡くなっているA氏の奥様とは再婚で、前婚の方との間にお子様がいらっしゃったことが判明したのです。以後、この方をBさんと言います。
ご長男はお父様(A氏)がご自分のお母様とは再婚であったことも、Bさんの存在も全く知らなかったそうです。
結局相続人(ご長男と弟様)とBさんとの話し合いは不調となり双方とも弁護士に依頼して解決することとなったそうです。

ご長男はこう話しておられました。
「父と事業のことについてもっといろいろなことを話しておくべきだった。そうしたら、もっと事業に積極的に関与したであろうし、事業を存続できたかもしれない
そして、親子の間でもっと家族のことをはじめ、いろんな話しをしておきたかった その中で父の前婚のことを聞けていたかも知れないし、そうしたらBさんへの対応も違っていた可能性がある」

今回の事件は、事業承継と相続について何も対策していなかったことが招いた結果でした。
その根底には、親子間のコミュニケーション不足があったと思います。

今回、私の身近な方にこのような残念な事件が起こりました。
私には、「もうこれ以上、このような悲劇が起こって欲しくない 相続では、家族の皆が心から幸せを感じて欲しい」 という強い願いが沸き上がってきました。
私は、相続業務に特化した行政書士として、そして「相続診断士」として 「笑顔相続」 を広めていきたい。そして相続診断士の皆さんとともに書類作成や相続に関するコンサルタントで協業していき、誰もが家族として心から幸せを感じて欲しい。と強く思っています。

幸福なより良い人生を過ごして、愛情と感謝とともに、事業や財産を次の世代に承継していく。
相続は、財産の承継だけではなく、家族を思いやる気持ちの承継も大切だと思います。

その手段としての遺言、事業承継、家族信託、後見、委任契約の知識と経験をこれからも役立てていきたいと思っています。


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