【vol.12】聞く力と相続診断士
人の成果=①正しい事実認識×②判断×③行動
成果を出している人を分析すると必ずと言っていい程、上式が当てはまります。
逆に、成果が出ない人は大体、どれかの要素が欠けています。
例えば、頭脳明晰ですが、頭でっかちで動かない人。①、②までは多分高得点、しかし、③がゼロなので成果はゼロ。
一方、人柄は良くフットワークも極めて軽いが、人の話をちゃんと聞けない人。③は高得点、②もまずまず。ですが、①がゼロに近いので成果もほぼゼロ。
ここで気づいて頂けたと思うのですが、ここでのポイントは掛け算であること。例えば、①、②、③の満点を、10点とすれば、最高点は1,000点となります。しかし、①、②が10点でも、③が0点であれば、結果はゼロです。
つまり、それぞれの要素が高い人は、頭ふたつくらい抜けて、他の人たちよりも成果を出してきます。凄い人がどんどん凄くなっていくのはこのせいだと、自分は勝手に結論付けています。
さて、ここで質問です。
仮に、自説に同意していただいたとして、三つの要素の中で一番重要なものは何でしょう?
ここに正しい答えはありませんが、恐らく①です。
これも極端な例ですが、信号の話をします。
車で信号待ちをしています。信号は赤ですが、どういうわけか青であるという事実認識をします。その後は、進むという判断とアクセルを踏むという行動をとります。②、③に間違いはありませんが、①を大きく間違えているため、結果はゼロ以下になってしまうはずです。
これは、本当に極端な例なので笑止な感じですが、世の中で起きていることを冷静に見ていると、かなり①でつまずいている事例は多いと思います。
しかし、「急いでいるんだ。」という言葉に慌てず、その人に何が起きているのか分析できる人は、一言で言って、COOLです。COOLなだけでなく、一緒に事実を追ってあげることで、お客さんからの信頼を勝ち得るかもしれませんし、もしかしたら、このことをきっかけに新たな商品を買ってもらえるかもしれません。
では、正しい事実認識をするためにもっとも重要なスキルは何でしょう?
それは、「聞く力」だと自分は考えます。ここで言う「聞く力」とは、テクニックではありません。聞く力とは、相手が安心して、気持ちよく話ができるような雰囲気を自然に創りながら、適切な質問ができる能力を言います。これは正直、簡単なことではありません。しかし、この力を身にまとえば、成果は間違いなく上がりますし、何よりも、人様のお役に立てるはずです。人間は大脳が発達しているゆえに、なかなか、本音を出しません。また、自分の本音が何なのか、あるいは、どこにあるのかをわかっていない人も多いと思います。
特に、相続といった特殊なテーマとなると、関わってくる要素も人・モノ・お金が複雑に絡み、自分が本当は何がしたいのか、あるいは、どうしたいのかといったことが見えなくなってしまうことが多いようです。そんな時にこそ役立つのが、聞く力だと思います。私自身もこの聞く力をうまく使えたことで、相談者の方の表情が大きく変わったといった経験を何度となくしています。相続診断士という仕事は極めて奥の深いお仕事だと思います。その中でも、かなり深めの要素が「聞く力」でしょうか?
わかったような口ぶりで申し訳ありません・・・。
笑顔相続事例は次号お楽しみに・・・。