【vol.116】「相続税の税務調査の話」
こんにちは!上級相続診断士で税理士の齋藤祐希です。
東京・千代田区にあるアカウンティングフォースフォース税理士法人で相続を担当しています。
今日はうちのスタッフが経験した相続税の税務調査の話をしたいと思います。
被相続人は農業を営んでいた地主の男性です。代々の名家で、相続時の土地の価額は15億円ほど、アパート等の収益物件も複数所有されていました。
そのご家庭では、経理の経験がある長男の奥様が全ての金銭の管理をしていました。
また税理士などには相談せず、奥様ご自身で相続対策もされていました。
少々の揉め事はありましたが、遺産分割は無事に終了。相続税も納付し、これで終わったと思っていたところに税務署から電話がありました。
曰く「奥様の通帳は見られましたか?」
税務署の話を聞いてみると、奥様の通帳の残高が多すぎると言うのです。
調べてみると確かに資産管理会社の代表になっている長男より、奥様の通帳の残高が5,000万円も多いという不自然な状況でした。
相続税の申告では、被相続人の通帳だけでなく、基本的に相続人の通帳(のコピー)も提出します。
贈与などの資金の動きを追うためです。
このご家庭での申告時には、長男の通帳は相続税申告書に添付しましたが
被相続人の養子になっており相続人でもあった奥様はそれを頑なに拒否したため、期限内申告を優先して奥様の通帳は添付せずに提出していました。
それが怪しまれる原因になってしまったのかもしれません。
仮に今回のケースのように通帳の提出を拒んでも、税務署は税務調査で銀行に行って口座や通帳を調べる権限を持っています。
奥様としては、一生懸命貯金をしていたつもりだとのお話でしたが、資産管理会社からのひと月の給与を超える額を貯蓄するなど説明のつかない資金の動きもありました。
そして改めて被相続人の通帳を見てみると、生活費としては少し多すぎるのでは?と思われる金額が定期的に引き出されていました。
結局、この税務調査では被相続人の通帳から引き出しているお金の一部が奥様の通帳に移っているという指摘をされてしまい、
奥様も最終的にはそれを認める形で修正申告・追加納税の手続きをしました。
追加納税分には、延滞税も含まれます。
(なお、奥様がノートにお金の使途を詳しくつけており、旅行に行った、コンサートに行った、着物を買ったなど説明がつく部分にはお咎めなしでした。あくまで通帳の残高に残っている資金についての指摘です。)
このケースでは、もし最初から税理士に相談していればこうはならなかったのにと悔やむ気持ちが残りました。
自己判断で資金を動かさず早期から税理士などに相談していれば、税務調査や追加納付を免れた可能性が高いです。
適正に贈与税申告を行っていれば、少なくとも延滞税は納めずに済んだはずです。
暦年贈与の税制が改正され生前贈与加算の対象が3年から7年に延長となり、相続対策には今までより更に時間と計画性が求められるようになりました。
当事務所では、お客様1人1人に添った相続シミュレーションを行い
例えば贈与税と相続税を組み合わせて一番税額が低くなるようなプランを考えるなど、
みんなが笑顔になれる、やってよかったねと言われる相続対策を提案します。
相続までの時間があるほど取れる対策は多くなります。
是非、お早目に一度ご相談ください!!