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【vol.112】「士業連携により依頼者の笑顔を取り戻す」

第1 はじめに

はじめまして、弁護士法人リブラ共同法律事務所の代表弁護士の菅原仁人でございます。
当事務所は弁護士合計9名の事務所で、札幌市内に2か所の支店を有し、取扱分野としては、相続と離婚に注力しております。
また、令和6年2月には私の出身地である東京都武蔵野市吉祥寺に東京オフィスを開所し、北海道と東京を結ぶ懸け橋となることを目指しております。
表題に記載致しました、「士業連携により依頼者の笑顔を取り戻す」とは、相続に注力する司法書士、税理士や行政書士などの他士業と連携し、士業間の垣根を取り払うことで依頼者満足の向上を目指していることを表しています。
他士業からご紹介いただくことで解決できた事例は多くございますが、以下にその一例を記載致します。

第2 事例

被相続人である夫が亡くなり、妻、長男及び二男の3名が相続人となった事例です。理由は定かではないのですが、お仕事の関係で本州に引っ越した長男は実家との縁を切って長年連絡も絶っており、妻から夫が亡くなったことや葬儀の日程を連絡しても返信がなく、結局葬儀にも参列しませんでした。
相続財産に妻と二男が暮らす自宅不動産が含まれていたことから、妻と二男は相続登記を行うために司法書士法人に相談しました。
司法書士から長男に対して、全ての財産を妻が相続する内容の遺産分割協議書を送付しましたが、長男から返信はなく、長男との間で遺産分割協議を行う必要が生じました。
ですが、司法書士は当事者の代理人として遺産分割協議を行うことができません。その司法書士法人では以前から相続において紛争が生じた際には、当事務所に相続人をご紹介いただいていたことから、本件も当事務所にご紹介いただき、弁護士が妻及び二男の代理人として遺産分割協議を行うこととなりました。

当事務所から長男に対して連絡文書を送付し、届いていることも確認できましたが、長男から返信はありませんでした。
繰り返し送付しても一向に返信がないことから、協議による解決は断念し、家庭裁判所に遺産分割調停を申立てました。
調停を申立てたことから、長男には裁判所から呼出状が送付されましたが、長男は調停期日に出頭しないため、話し合いによる解決を図ることはできず、最終的に審判により裁判所が遺産の分割方法を決めることとなりました。
ここで問題となったのは、当事者同士の話し合いで全相続人が同意したときには一人の相続人が全ての財産を相続することもできるのですが、審判ではそのような分割内容を指定することはできず、法定相続分に基づいて相続することになる、という点です。

そこで本件では、妻が不動産を含むすべての財産を相続する代わりに、法定相続分に応じた代償金を長男及び二男に支払うことを希望しました。
裁判所には審判期日に出頭しない長男に対して適切な代償金が支払われるのであれば、上記の方法での解決にも対応していただけることとなり、最終的には、希望通り長男及び二男に対して代償金を支払う内容の審判を出していただきました。
審判が確定したところで、本件をご紹介いただいた司法書士に連絡し、自宅不動産について妻への相続登記をしていただきました。
また、長男に対しては、職場に手紙を送るなどの手立てを講じて代償金を受け取っていただこうとしましたが、一向に返事がないため、やむを得ず代償金を供託することで終結となりました。依頼者の家庭内にどのような出来事があったのかは最後まで明らかにならず、家庭内の不和を解消することはできませんでしたが、当初の目的であった自宅不動産を妻が相続することは達成され、妻と二男には満足していただき、笑顔を取り戻すことができました。
なお、妻が亡くなった際に長男と二男との間で遺産分割協議を行う必要が生じないようにするため、ご紹介いただいた司法書士において妻の遺言を作成していただきました。

第3 まとめ

相続は相続登記、相続税の申告、不動産の売却や保険金の受領などの場面では士業間、業種間の連携が必須の分野ですが、当事者間で紛争が生じてしまったときは弁護士の出番になります。
依頼者の満足を第一に考えますと、弁護士の介入が必要となった段階で弁護士を探しても、必ずしも最適な弁護士が直ぐに見つかるとは限りません。
当事務所は北海道と東京都にお住まいの方から多くのご依頼をいただいていますが、遠方にお住まいの方にも対応できます。
皆様とともに一人でも多くの相続でお困りの方のお力になりたいと思っておりますので、他士業、他業種の方で弁護士との連携をお考えの方がいらっしゃいましたら、お力になりますのでお声掛けください。

 

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