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【vol.111】「相続登記の義務化がスタート。未手続きの遺産分割手続きに関するトラブルの事例紹介」

1.ご挨拶

相続診断士のみなさま、はじめまして。
弁護士法人Authense法律事務所の弁護士 木村 光伸と申します。
弁護士歴20年、これまでたくさんの相続問題に取り組んでまいりました。
私が所属しているAuthense法律事務所は、「すべての依頼者に最良のサービスを」を使命として、遺産相続・交通事故・離婚などの個人法務、建物明渡訴訟などの不動産法務、上場企業からスタートアップ企業を中心とした企業法務、誹謗中傷をはじめとした刑事事件など、総合法律事務所としてあらゆるリーガルニーズにお応えしています。

2.2024年4月の民法改正で、相続登記が義務化されます

不動産登記簿の記載だけでは、土地の所有者が分からない・土地の所有者と連絡がつかない土地「所有者不明土地」の問題解消に向けて、2024年4月から、民法、不動産登記法の改正が施行されます。この改正で、相続によって不動産を取得した相続人は、その所有権の取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。

これからご紹介するご相談事例は、父親の相続手続きの際に、祖母が所有していた土地の遺産分割手続きがなされていなかったことが発覚した、というケースです。

<ご相談の経緯>
相談者Aさんの父Xさん(以下、被相続人X)が亡くなり、Aさんが相続財産について調べていたところ、被相続人Xの母(Aさんの祖母)が所有していた土地の遺産分割手続きが未だなされていないことがわかりました。

被相続人Xは8人兄弟で、そのうち3名がご存命であったため、その子どもたち、つまりAさんのいとこにあたる8名、Aさんたち兄弟3名の合計14名が相続人ということがわかりました。
Aさんは、長男である自分が相続手続きをまとめようと考えていましたが、相続人の多さに、今後の手続きが不安になってしまい、ご相談にいらっしゃいました。

遺産分割手続きがなされていなかった土地の周辺は、被相続人Xの名義で登記している土地でした。被相続人XとAさんはその土地に建物を建て、長年暮らしていたため、Aさんはこの土地については単独相続を希望していました。

<解決までの流れ>
弁護士は、Aさん兄弟を除いた相続人全員に、「遺産分割未了の土地があること」、「本件土地の周囲は被相続人X名義であること」、「本件土地については被相続人Xが生前作成していた遺言書の対象から漏れてしまっていたために相続手続きがなされることなく現在に至っていること」などを説明した書面を送りました。

その上で、「本件土地を除く周囲の土地は既にAさんへの所有権移転登記手続きがなされていること」、「被相続人Xは本件土地についてもAさんに相続させる意思だったと十分に推認できること」、「Aさんが被相続人Xと共に、長年にわたり本件土地上に建物を建てて生活を継続してきたこと」、「相続人の間でAさんが単独相続することで意見が一致していること」を主張し、Aさんへの本件土地の所有権移転登記手続きに同意してもらえるよう協力を仰ぎました。

<結果・解決ポイント>
書面を送付した相続人の方々は誰一人異議を述べることなく、全員が同意書にサインし、書類を返送してくれました。これにより、Aさんは本件土地について単独で相続することができました。

3.最後に

2024年4月に施行される相続登記の義務化は、過去の相続分も遡及適用となります。遺産分割協議時にトラブルとなりやすい不動産の相続。相続診断士のみなさまが関わられている相続案件で、お困りの際は、ぜひご相談ください。

<告知>
【無料ウェビナー】2024年2月29日(木)14:00~15:00
タイトル:意外と知らない!相続における「非弁行為」と弁護士活用法
講師:弁護士 木村 光伸 (第二東京弁護士会所属)

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