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【vol.108】「遺言書は残された家族への愛情そのもの」

1 ご挨拶

相続診断士の皆様,初めまして。
この度パートナー事務所としてお手伝いさせていただくことになりました永原法律事務所の弁護士永原裕也(ながはらゆうや)と申します。
アクセスの良い名古屋駅の近くで事務所を構えており,相続案件に特化した事務所にしていこうと日々奮闘しております。

私は,「こころ豊かな人間社会の発展に寄与します。」という経営理念の元,お客様の「心の解決」をして「安心」を提供したいとの想いをもって相続案件に取り組んでおります。また,交通事故等の案件と異なり,相続などの家族問題は,紛争が解決しても家族関係は続いていくため,①依頼者(相続人)の利益をできる限り追及していくことはもちろんのこと,②相手方(他方の相続人)の諸事情も鑑みて,③世の中に受け入れやすい「三方よしの解決」を目指しております。
このような私の理念やスタンスは,相続診断士の使命である「争族を減らし笑顔相続を普及すること」と一致していると思っております。次の項目では私が最近扱った事例とそれについて私が常々思っている遺言書のことを記載させていただきます。

2 事例

私の依頼者様は高齢の女性で,死別した夫と共有名義になっているマンションに一人で暮らしておりました。自身が高齢であり施設入所など自分の先の未来のことを考えてマンションの処遇をどうしたらよいか迷って相談をされました。依頼者様は高齢のため私の事務所まで来るのが難しかったため,依頼者様が通所している自宅近くの介護施設の一室をお借りしてご相談を承りました。

相談内容としては,死別した夫には前妻との間に娘さんがおり,マンションの名義変更をするには,その前妻との間の娘さんの協力をしてもらわない限り実現しない状態でした。
ただ,娘さんとは交流がなく,10年以上前に司法書士さんに依頼してお手紙を送ったそうですが,その時は何も返事がもらえなかったので,そのままマンションの名義変更ができておらず,長年どうしたらよいのかと悩んでいたそうです。

私は,このようなケースはよく扱っていることもあり「任せてください」と力強く伝えて依頼者様に安心して頂き,娘さんの戸籍や住民票等の取得に着手し,ご依頼から1か月程度で準備が整ったため,娘さんにお手紙を送らせていただきました。

お手紙を送って1か月が経過しそうな頃,何も反応がなければ次の手立てを採ろうと思っていたところ,娘さんから弊所にお電話をいただきました。お話を伺うと実は10年以上前に既に相続放棄をしているとのことでした。その後,娘さんから相続放棄を証明する書類をいただき,そちらを利用して,無事に名義変更をすることができました。

依頼者様からは,わざわざ施設まで相談に来てくれたことも嬉しかったし,長年本当に心の隅でずっと悩んでいた問題が解決してとても嬉しい等と仰っていただきました。

私は前妻の子(娘さん)とはあまりお話ができませんでしたが,おそらく色々と察して相続放棄をされたのだと思いますし,私からの連絡も無視せずに依頼者様が困っていることを察してご協力いただけたのではないかと思って感謝しております。

この事例では私自身はほとんど何もしておりません。ただ,ご本人様に寄り添い,ご本人様が長年悩んでいたことをこの機会に解決しましょうと背中を押して,私が代わりに行動したからこそ,良い結果に結びついたのです。

ただ,もう一歩踏み込んだことを述べるとこのケースはとても運がよかったケースです。
私が過去に扱った案件では,前妻の子が法定相続分を主張するケースも多くあり,そのようなケースでは主な遺産が後妻の住んでいるマンションしかなくて売却などもできず遺産分割が困難な場合も少なくありません。

私はこのようなケースに普段から接しているため,争族を無くしていくためには常々遺言書しかないと思っており,高齢者の方にセミナーなどを行い遺言書の作成をお勧めしております。

遺言書の作成は,残された家族への愛情そのものです。
遺言書があっても遺留分の争いになることもありますが,それは遺留分に配慮した遺言書を作成したり,遺言者の想いを付言事項で記載したりすることで争族を回避できる場合も多いです。私はよく遺言書を作成しておけば「大難が小難になり,小難が無難になる」と伝えております。

3 相続診断士の方へのアドバイス

上で紹介した前妻の子のケースで,すんなり解決する事例はそれほど多くはありません。私は争いがあるケースを担当すればするほど,遺言書の効果の大きさを実感します。

相続診断士の方には,是非遺言書の作成は「残された家族への愛情そのもの」であり,①前妻との間の子,②子供がいない夫婦,③知的障害の子がいる夫婦といった,遺言書を作成した方が良いケースをキーワードとして覚えておいてほしいです。
そして,そのようなケースにあたったら,パートナー事務所の先生方に一度伝えてもらえればと思います。

私自身,これからも笑顔相続の広がりに尽力していきますので,どうぞよろしくお願い致します。

 

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