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【vol.105】争続が無くても笑顔が消えることがある

相続診断士の皆様、はじめまして。滋賀県高島市の吉武学行政書士事務所行政書士とお寺の住職(饗庭山法泉寺:真宗大谷派)をしております吉武学と申します。
今回は、争続が無くても笑顔が消えていたご家族の事例を紹介したいと思います。

行政書士と合わせ住職も兼務していますので、ある日、当寺の檀家であるAさんのお葬式を勤めさせていただきました。
Aさんには奥様のBさんと、三人のお子様Cさん、Dさん、Eさんがいらっしゃいます。
ご遺族の皆様は通夜・葬儀・初七日の間、悲しみながらも気丈に振る舞われ、法要後は遠方に帰られるDさん、Eさんを笑顔で見送られていました。
相続人間の関係も問題なく、Dさん、Eさんは生前に住宅購入などでAさんから贈与を受けていたこともあり、遺産はBさんとCさんで相談して分ける、とお話しされていました。特に問題や障害になる点も見られなかったため、相続手続については何かあったらご相談ください、とだけお伝えしました。
しかし、四十九日法要の頃になると、BさんとCさんには尋常ではないお疲れの様子が見え、法要にお越しになったDさん、Eさんがご心配され、私に事情を聞いて欲しいと相談に来られるほどでした。

お話を伺うと、Aさんが亡くなられたショックでBさんに初期の認知症の傾向が見られ、ご本人もそのことに気付いてはショックを受けておられました。
またCさんは、会社に勤務しながら、Bさんの介護、法要の準備、相続手続を並行して行い、寝る時間もほとんど取れていない、とのことでした。
お話を伺い、すぐに遺産整理の業務委託を提案し受任しました。各相続人も協力的でしたので、素早く委任状や必要書類が集まり、相続関係説明図や財産目録を作成しました。
当初は、BさんとCさんで均等に遺産分割をする予定でしたが、認知症が今後進行していくことを考え、Cさんが引き続き介護を続けていくことを約束して、その費用分も合わせてCさんに多めに分割することとしました。

以上の内容で遺産分割協議書をまとめ、各相続人にご説明したところ、Bさんからは「認知症が進行する不安が大きかった。自分の子どもにある程度まで見てもらう予定ができて、その負担について遺産を充てることが出来てホッとした。」と笑顔を見せてくださいました。
また、Dさん、Eさんも遠方にお住まいのため、Bさんの介護が今後の懸念と考えられていましたが、「みんなが納得する形で今後の不安が解消できた」と言われました。
Cさんからは働いて介護をしながら相続手続をすることは無理だった。遺産整理をお願いすることで、適宜説明を受け、署名と捺印だけで手続が進むので、安心して仕事と介護に向かえた。」と感謝していただきました。

争いが何もない相続手続であっても、お仕事や介護の日常に、相続という非日常が入ることで家族の笑顔が消えることがあります。
相続診断士がしっかりとヒアリングして、相続の手続についての情報提供を行い、必要に応じて士業と連携してサポートすることで、被相続人の財産も想いも笑顔で相続人に相続されます。

お客様の身近に相談しやすい存在であるという、相続診断士の目的をあらためて感じた事例でした。

 

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