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【vol.71】相続Q&A~教育資金の一括贈与非課税制度の見直しについて~

質問

教育資金の一括贈与非課税制度について、今年度の税制改正では、所要の見直しを行ったうえで、その適用期限が2年間(2021年3月31日まで)延長されました。
今回の改正で見直された部分とは、どのような内容でしょうか?

回答

今回の改正で、以下の4点が見直されることとなりました。

1.受贈者の所得要件

信託等を行う前年の受贈者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、その受贈者は、本措置の適用を受けることができない。(2019年4月以後に信託する分より)

2.贈与者(委託者)死亡時の取り扱い

信託等を行った日から教育資金管理契約の終了の日までの間に贈与者が死亡した場合において、受贈者がその贈与者からその死亡前3年以内に信託等により取得した信託受益権等について本制度の適用を受けたことがあるときは、その死亡の日における管理残額を、その受贈者がその贈与者から相続又は遺贈により取得したものとみなす。ただし、一定の場合を除く。(2019年4月以後に信託する分より)

3.教育資金の範囲

教育資金の範囲から、23歳以上の受贈者に対する学校等以外の者に支払われる習い事等の費用を除外する。ただし、教育訓練給付金の支給対象となる教育訓練を受講するための費用は除外しない。(2019年7月以後に支払われる分より)

4.信託終了事由

教育資金管理契約の終了事由について、受贈者が30歳に達した場合においても、その受贈者が学校等に在学等しているときは、教育資金管理契約は終了しないものとする。(2019年7月より)

教訓

本制度は、若年層への資産移転を促す目的で2013年に創設されました。
使途を30歳未満の子や孫の教育資金に限定し、最大1,500万円まで贈与税を非課税とするというもので、創設から5年余りで約20万件が本制度を利用しました。

一方で、同様の制度に、結婚・子育て資金の一括贈与非課税制度がありますが、こちらは2015年の創設から3年余りで約5,000件と、本制度に比べて利用が進んでおりません。

両制度でこれだけの差を生んだ最大の要因が、死亡前3年以内の信託財産の残額を相続財産に加算する、いわゆる「3年以内加算」です。結婚・子育ての制度では、当初より3年以内加算が行われてきたのに対し、本制度においては、こうした加算が行われてきませんでした。
そのため、短期間での財産移転を考えたときに、加算されない本制度の利用が進んだというわけです。

上記2のとおり、今回の改正で、本制度においても、今後は3年以内加算が行われることになりました。
今後、本制度を利用しての短期間での対策は難しくなったといえます。


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