【vol.41】相続に際して、相続人の気持ちに寄り添ってアドバイスした事例の紹介
名古屋市西区の 木村茂之税理士事務所の税理士 木村茂之です。
相続関連業務を主体に税理士業界で仕事を続けて29年になります。
お父様の相続に関連して、ご家族の心配事や二次相続対策や子供世代の将来の暮らしにも配慮してアドバイスさせていただいた事例を紹介させていただきます。
事例:お父様の相続とギャンブル好きな次男さんについての心配
お父様がお亡くなりになられたため、相続税申告のご依頼をいただきました。
相続人はお母様と長男さんと次男さんの3名。財産の分け方は、お母様が1/2、長男さん1/4、次男さん1/4の割合で分けることで合意できています。
お母様(77歳一人暮らし)と長男さん(52歳既婚)には、心配事がありました。
それは、次男さん(50歳独身)がパチンコや競馬などギャンブルが好きで、貯蓄ができないタイプであることです。
お父様が残された遺産は約8千万円なので、2千万円を次男さんに分ける予定なのですが、せっかく2千万円を分けてあげても、ギャンブルに使ってしまうのではないかと心配されています。
次男さんの状況とプランの検討
次男さんは、若い頃は転職を繰り返していたけれど、7年ほど前に大企業の工場に転職してからは真面目に働いていています。住まいは賃貸アパートで一人暮らしをしています。
次男さんは相続した財産を現金で持っていると、ギャンブルに使ってしまう可能性がありそうなので、そのお金で分譲マンションを購入してもらうプランを立案しました。次男さんがマンションを購入したならば、将来に渡って住居は確保できますし、ギャンブルで財産を消費してしまうことも防くごとができます。
まず最初にお母様にプランの説明をしたところ、お母様がそのプランをとても気に入られました。次男さんへぜひ勧めてみたいとのことです。
お母様の二次相続の検討
お母様はご自身の固有財産として預金を5千万円ほど持ってらっしゃいます。
ご主人様から相続する財産と合算すると合計9千万円ほどになるため、二次相続での相続税負担も考えておくことが望ましいです。
二次相続対策も兼ねて、次男さんがマンションを購入する際に、お母様から次男さんへ住宅取得資金の贈与を700万円以内でおこなう事もお勧めしました。
遺産分割協議と分譲マンション購入のお勧め
お母様と、長男さんと次男さんに集まってもらって、遺産分割の話し合いをおこなっていただきました。
その際に、お母様が次男さんに対して、お父様から相続する預金2千万円を使って分譲マンションを購入して、いま居住している賃貸アパートから引っ越すことをお勧めされました。
もし、マンションを購入するならば、更に住宅取得資金として700万円をお母様の財産から贈与してあげると付け加えて説明したところ、次男さんもマンションの購入に乗り気になり、さっそくマンションを探しはじめました。
次男さんは50歳なので、平均余命は31年ほどあります。
あまり古いマンションでは、将来の老朽化が心配です。
新築または建築後10年以内程度の分譲マンションに絞って探すことをお勧めしました。
結局、次男さんの勤務先とお母様の自宅の中間地点辺りに気に入ったマンションを見つけて、購入することになりました。
1DKの賃貸アパートから3LDKの分譲マンションに転居した次男さんは、とても快適に暮らせる様になったと喜んでいらっしゃいました。
二次相続の対策
二次相続対策として、お母様に公正証書による遺言書を作成していだだくお手伝いもいたしました。
また、生命保険金は1千万円まで相続税が非課税になるため、お母様に万一の時には保険金が1千万円支払われる終身保険に加入されました。
相続税申告のご依頼に附随して、さまざまなご事情に配慮して、将来に発生する可能性があるお困りごとをできるだけ軽減して、安心して暮らしていただくためのお手伝いができた事例としてご紹介させていただきました。
なお、個人のプライバシーに配慮し若干の修正を加えさせていただいております。