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【vol.39】「想像力」と「創造力」から笑顔相続へ

LM総合法律事務所の共同代表を務める弁護士の須田友之と申します。

横浜のみなとみらいで事務所を構えさせていただき、相続案件、事業承継、不動産関連、企業法務など多種多様な案件を取り扱っています。
また、大学でも、実務家講師として、延べにして約10年間(執筆時点)教鞭をとらせていただいております。

この度、弊事務所は相続診断協会のパートナー事務所としてお手伝いさせていただくことになりました、どうぞよろしくお願いいたします。

 

弁護士と相続と言うと、いわば「争族」を取り扱うイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。

確かに、遺産分割や遺言をめぐり争いとなった場合、法律上、相続に関する調停や訴訟で代理人に立てるのは弁護士に限られますので、弁護士が「争族」と関わることは多数あります。

しかし、将来発生する相続をどのようにして円滑に進めていくかを、ご本人やその相続人である家族の方々と予め検討し、具体的な対策をプランニングさせていただく相続案件も、「争続」の数と同じくらいあるのです。

こういったご相続案件については、多数の「争族」の現場の最前線に立つ側からの視点として、争いが生じないようにするための最善の方法を提案させていただいております。

 

ご相続のプランを検討する上で私が重要だと考えていることは、もちろん法律や税制への対処も重要なのですけれども、「その人」や「その家族」の方々の立場、想い、関係性などを俯瞰して見ながら、将来発生しうることを「想像」し、それに合ったプランをオーダーメイドで「創造」することではないかと思います。

法律的にはこうなると決まっているとしても、それ以外の要素を考慮することによってわだかまりが解消されるケースも少なくありません。

これまで相続案件は常に途切れることなく複数件取り扱わせていただいておりまして、その中にはかなり珍しい案件や複雑な案件など、話題は相当数ある方かと思いますが、ここでは、「笑顔相続」という観点から印象に残っている事案をご紹介します。

 

事例

それは私宛の一本の電話から始まりました。

事務の者からつながれた名前に覚えが無く、どなただろうと思ったら、やはり初めてお電話を下さった方でした。

仮にBさんとしますけれども、Bさんに電話をかけていただいた経緯をうかがいましたところ、以前、私にご相談をされた方(仮にAさんとします)がいらっしゃいまして、BさんはこのAさんの相続人なのだそうです。

Bさんの話では、Aさんがお亡くなりになり、自筆の遺言を残していたとのことでした。
そこには、遺産の具体的な分配方法が記載されるとともに、末尾に、家族へのメッセージとして

「何かあったら全て須田弁護士を頼るように」

 

と私の事務所の連絡先まで書いてあったそうです。

公正証書遺言であれば、証人や遺言執行者として自分の名前が書かれることはありますが、それ以外の方式の遺言の中に自分の名前が書かれているなどということは想定外でしたので、正直なところ大変に驚きました。

 

それはともかく、Aさんが残された遺言書の内容を見て欲しいということでしたので、Bさんには遺言書を持って相談にいらっしゃるようにお願いしました。

Bさんに見せていただいたAさんの遺言は、法的な要件は満たしており有効ではありましたが、遺言の執行手続を考えるとやや不備のある内容でした。
遺産が多く、相続人も多数いらっしゃることから、一人でも異論を唱えだすと争いが長期化し、解決まで年単位でかかる可能性もあるだろうと予想されるものでした。

 

法律論や経済的な利害関係だけから判断するとそのような遺言でしたので、そう申し上げたのですけれども、この遺言には、Aさんからご家族一人一人に宛てたメッセージが添えられていました

Aさんご自身も自分の相続が大変なものになることを見越しておられたようで、この遺言を読んだご家族がどのような気持ちになるかを「想像」されたのだと思います。
メッセージには、遺言のような財産の分け方にしたAさんの気持ちが、家族への感謝や謝罪の言葉と共に書き綴られていました。

後日、BさんからAさんの相続手続は遺言に従って円満に終了したとのご連絡をいただきました。

 

私の心配は杞憂に終わったわけですけれども、Aさんの遺言にあった、自らが亡くなった後に遺された家族一人一人のことを「想像」して考えたメッセージがあったからこそ、法律や損得を超えて、Aさんの意思のとおり次の世代につなげることができたのだと思います。

Aさんも笑顔で相続させることができたのではないかと思います。

 

弊事務所は、パートナー事務所として、人生の最後を迎えようとする方が安心して笑顔で人生を全うできる「笑顔相続」のお手伝いができればと考えています。

そのためには、税理士さん、保険会社さん、不動産業者さんなど多数の専門家(業者)と知恵を出し合い、オーダーメイドで解決していくことが不可欠です。

そのためにも、様々の業種の相続診断士の方々がお気軽に相談できる「ランドマーク」のようなパートナー事務所になれたらと思います(なお、事務所は、横浜のランドマークタワーにあります)。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

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