【vol.136】遺言に込められた想い
1.はじめに
福岡市中央区平尾にて「ひらおひより司法書士事務所」を開設しております司法書士の原口と申します。
今年で司法書士として25年目を迎えますが、度重なる法改正、業界を取り巻く環境等変化のスピードは加速し、そのスパンは短くなるばかりだと痛感しております。
そのようななかで、私自身、司法書士として求められる知識や執務姿勢の在り方になんとかついていっているような状況です。
2.当事務所の体制
当事務所では、司法書士の伝統的な業務である登記業務をはじめ、成年後見業務、任意後見契約の締結に基づく任意後見人の受任、遺言書作成支援、遺言執行者の受任、死後事務の受任、信託契約書作成支援等を中心に業務を行っております。
当事務所に在籍している者は、私を含め全員が相続診断士の資格を取得し、相続業務につき司法書士の視点のみではなく、相続診断士として多角的に且つ俯瞰的に相続業務全般をみつめることで司法書士業務の一助としております。
3.記憶に遺る事例
私は、これまで時には登記手続の代理人として、時には家庭裁判所に対する提出書類の書類作成者として、時には成年後見人等の法定代理人として等様々な業務あるいは立場で相続に関する業務を行ってきましたが、そのなかでも数年前にAさんの遺言書作成支援や遺言執行者に就任した事例が強く記憶に留まっております。
ある方からのご紹介で亡夫の相続登記のご依頼を頂いたことがAさんをご支援させて頂くきっかけでした。
相続登記が無事に完了した数年後に遺言書を作成したいので支援して欲しい旨のご連絡を頂きました。
ご意向を丁寧に聴きとり、何度も打ち合わせを重ねました。
Aさんはご自身の遺産のうち一部をある消防組合が使用する救急車の購入費用に充ててほしい旨の強い希望をお持ちでした。Aさんの亡夫が生前何度も救急車のお世話になり、命を助けてくれたので恩返ししたいというのがその理由でした。
私は、Aさんの了承を頂いたうえでその消防組合にも遺言に基づき受領した金銭で救急車を購入するという負担がついた遺贈の受け入れが可能かどうか聴取する等遺言書作成の段階からAさんに万一があった際にせっかく遺した遺言が実現可能かという視点を持って支援を行いました。
無事に遺言書の作成が終了した数年後Aさんは他界されました。
私は、遺言書において遺言執行者に指定されていましたので、Aさんの想いを実現すべく消防組合に金銭の遺贈を行いました。
Aさんの想いが通じたのか、その消防組合においては間もなく新規の救急車を購入するというタイミングであり、Aさんが遺贈した金銭がその救急車の購入費用に充てられました。
現在でもその救急車は病気や怪我を負った方々を救うために街中を走りまわっています。それはAさんが生前に強く希望されたことであり、私もまるでAさん自身が今も生きておられいろいろな方を助けているような感覚になってしまいます。
Aさんの想いを実現できたことと、そのお手伝いができたことに私自身も心が満たされております。
4.さいごに
ひとそれぞれ育ってきた環境や現在の置かれた状況も違えば、家族構成や家族との関係性も違います。また、ひとそれぞれ趣味嗜好や思い入れのあるものも異なります。
皆さんご承知のとおり、人の死は必然であり人の死と共に相続が発生します。
Aさんのようにいずれくるであろうご自身の相続のために、オーダーメイド型の対策を行っておくこともご自身の人生を豊かにしてくれるのかもしれません。
相続診断士という職種は、まさにオーダーメイド型の支援を行うために、多職種と連携し依頼者の希望を叶えるべく進行役としての役割が期待されていると思います。
当事務所におきましても、おひとりおひとりの状況やご意向に沿ったご支援ができるよう、相続診断士の皆さまや他の専門家の皆さまと連携を図りながらこれからも尽力して参ります。














