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【vol.79】相続Q&A~遺言書の内容と異なる遺産の分割と贈与税~

質問

被相続人甲は、すべての遺産を長男乙に与える旨(包括遺贈)公正証書による遺言書を残して亡くなりました。
しかし、相続人全員による協議の場において、乙が他の相続人にも甲の遺産を取得してほしいと述べたことにより、遺言書の内容と異なる遺産分割をし、甲の遺産は、乙を含む三人の子で1/3ずつ取得しました。
この場合、乙から他の相続人へ贈与があったものとして、贈与税の納税は生じないのでしょうか。

回答

相続人全員による協議で、遺言書の内容と異なる遺産分割をしたということは、包括受遺者である乙が包括遺贈を事実上放棄(この場合、乙は相続人としての権利・義務は有しています。)共同相続人によって遺産分割が行われたとみて差し支えありません。
したがって、本ケースにおいては、贈与税の納税は生じないことになります。
(国税庁 質疑応答事例より)

教訓

遺言書の内容は遺言者の意思ですので、最大限に尊重されるべきものです。
しかし、その内容が実態に即していなかったり、相続人の意思と相反していたりする場合には、相続人全員の合意のもと、遺産分割協議により分割を決めていくことが可能です。
せっかく書いた遺言書が執行されないということがないよう、遺言者は相続人としっかり連携し、専門家のサポートを受けながら、遺言書を作成するようにしましょう。


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